2026年4月から自転車の交通違反に対しても、「青切符」による反則金制度が始まる。これに先立ち、岩手県警察が交通ルールの啓発動画を制作した。自転車事故の割合が増加傾向にある中、「ながらスマホ」には1万2000円など、113種類の違反行為に対して反則金が科せられることになる。岩手県内では過去5年間で876人が自転車事故で死傷しており、特に高校生が全体の約4分の1を占めている現状を踏まえた取り組みだ。
自転車にも適用される反則金制度
2026年4月1日から、自転車にも交通違反に対する「青切符」制度が適用される。
警察庁が9月に公開したルールブックによると、反則金の金額は違反内容によって異なり、自転車の並走や2人乗りは3000円、傘差し運転やイヤホンをつけて周囲の音が聞こえない状態での運転は5000円となっている。

また、特に危険性の高い「ながらスマホ」(スマートフォンを手に持って通話したり画面を注視したりする行為)には1万2000円の反則金が科せられる。

このほかにも信号無視や一時不停止など、計113種類の違反行為が定められており、16歳以上のすべての人が取り締まりの対象となる。
岩手県警が啓発動画を制作
岩手県警は取り締まり強化を前に、交通ルールを広く知ってもらうため啓発動画を制作した。自転車の交通違反などをわかりやすく解説した20〜30秒の動画が18種類用意されている。
8月4日には盛岡市青山の交通公園で撮影が行われ、県警交通部の職員約30人が参加した。

監督もキャストもすべて警察官が務め、歩行者の通行妨害や路側帯でベルを鳴らし続けたりなど、自転車の危険行為を再現しながら撮影を進めた。

撮影に参加した県警交通機動隊の佐藤裕恵巡査長は「初めてやるものだったので緊張はしていたが、どの点が危ないのか、駄目なのかというのが皆さんに分かりやすく伝われば良いと思いながら演技した」と話す。

また、県警交通企画課の田中慎也課長補佐は「なかなかカメラを回すというのは撮り慣れていないので難しかったが、いかに臨場感を出せるかというのを考えて撮影した」と撮影の苦労を語った。
自転車事故の現状と啓発の必要性
取り締まり強化の背景には、自転車関連事故の現状がある。
警察庁のまとめによると、全国の交通事故件数は減少傾向にあるものの、自転車が関わる事故は年間約7万件とほぼ横ばいで推移しており、全交通事故に占める割合は増加している。

岩手県内では2024年までの過去5年間に自転車事故で死傷した人は合わせて876人にのぼる。このうち高校生が224人と最も多く、全体の約4分の1を占めている。
県警運転免許課の青木崇課長は「高校生が交通違反で検挙されたりしてほしくないし、交通事故に遭ってほしくないので、高校生や多くの人に見てもらえるものは何かということで動画を作ろうとなった」と制作の意図を話す。

また、県警交通企画課の田中慎也課長補佐は「この動画を通して交通ルールを学んでもらうことで交通事故が1件でもなくなってほしいのと、交通違反によって青切符を切られる人が1人でも減ってほしい」と期待を寄せている。

完成した動画は県警のユーチューブやインスタグラム、県内各警察署の電子掲示板などで公開される予定だ。