過去に四度の盗難被害にあいながらも無事に住民たちの元に戻ってきた観音さまが、福井・小浜市にある。二度と盗難にあわないように…と住民らは収蔵庫を建てて大切に安置している。

御開帳は年に一度
小浜市太良庄の正林庵に安置されているのが、奈良時代のものとされる国指定の重要文化財「銅造如意輪観音半跏像」。指先を軽く頬にあてたあどけなく優しい顔をしている。

9月17日、国指定の重要文化財の観音像が年に一度の御開帳を迎え、地元の人による法要が営まれた。
過去に四度の受難
実はこの観音さま、これまでに4度の盗難に遭っている。その度に、無事にこの地に戻ってきた。江戸時代に盗難にあった際は、地元の庄屋の甚兵衛が京都で観音様から声を掛けられて、連れて帰ったとされている。

4度目の盗難は1958年(昭和33年)で、鳥取県で見つかった。これ以上盗難の被害に遭わないようにと、地元の人が収蔵庫を建て大切に守っている。

法要に参加した近所の女性は「日々の生活で困り事があると観音様に手を合わせたくなる身近な存在」と手を合わせる。

正林庵の法要当番代表の山本定夫さんは「昔からこの観音様のおかげで皆が平和で無事に過ごしている。区民の拠り所となる観音様なので大切に守っていきたい」と話している。
四度にわたる盗難にあいながら無事に戻ってきた不思議な観音さま。地域の人の厚い信仰を受け、大切に守り継がれている。