台風シーズンが到来。知っておきたい台風進路図の正しい見方を村田光広気象予報士が解説する。
予報円の中心線は必ずしも進行方向ではない
まず、台風進路図の中心部にある×印。これは「現在の中心位置」だ。
その中心位置の周りにある赤い円は「暴風域」。秒速25メートル以上の暴風になっている範囲を示している。
さらにその周りの黄色い円は「強風域」で、秒速15メートル以上の強風になっている範囲。
台風の中心はこの円のどこかに進むが、その確率は70%。中心線はあくまで予報円の中心を線で結んだものであって、台風の中心がここを進むというものではない。

予報円の大きさは進路が定まっているかどうか
予報円が大きいと台風が大きくなるようにも見えるが、そうではない。
予報円が小さいときは“進路が定まっている”場合で、予報円が大きいときは“進路が定まっていない場合”だ。
さらに、予報円の周りの赤い表示は「暴風警戒域」で、台風の中心が予報円を進んだ場合、秒速25メートル以上の暴風域に入る可能性のある範囲だ。

台風から離れていても大雨になる場合が
台風が近付いてくると、どこに上陸するのか、台風の中心がどこを通過するのかばかりが気になるが、離れていても大雨や暴風になることがある。

2013年9月16日には、大型の台風18号が愛知県に上陸。しかし、台風の中心から離れた福井県内で、大雨特別警報が発表された。
命を守る行動が必要となった場合に発表される「特別警報」は、この年の8月から気象庁が運用を始め、全国で初めて福井県に発表されたのだ。

この時の台風は愛知県に上陸し東に進んだ。台風の中心付近だけでなく、日本海側にもらせん状に活発な雨雲が広がり大雨をもたらした。
こうした雨雲は、ときには線状降水帯となり記録的な大雨になることもあるのだ。
台風の進路にかかわらず、台風情報があるときは決して油断してはならない。再審の気象情報をこまめに確認し、備えを万全にするようにしよう。
