首都直下地震の被害想定が新たに公表されましたが、災害での避難所の居住スペースなど、政府が目安としている国際基準「スフィア基準」を、東京23区の多くの避難所が十分に満たしていないことが、FNNの取材でわかりました。
スフィア基準は、災害などの被災者が尊厳を保って生活することを目的とした国際基準で、居住スペースやトイレの数・入浴施設などの最低基準を示しています。
首都直下地震では大量の避難者が出て、災害関連死が最大4万1000人との被害想定が発表されました。
FNNが東京23区に取材したところ、スフィア基準の「1人あたり3.5平方メートルの居住スペース」を満たしているのは千代田区と新宿区だけで、多くの区は1.65から2.5平方メートル前後でした。
入浴設備について、国の指針は「おおむね50人に1基」ですが、17の区で指定避難所への設置がなく、公衆浴場組合との協定やボディーシートの活用で補う方針です。
スフィア基準について、ある区は「将来的に目指すべき目標」とする一方、別の区は「人口が集中する大都市部では現実的ではなく、十分な議論がないまま国の基準として採用されること自体、大きな問題」と回答しています。
自治体にスフィア基準の研修を行う団体は、「数値だけにとらわれず、理念を共有することが大切」と指摘します。
JQAN 小林深吾代表:
人権を守る、尊厳を守る、命を守るとなったときに、数字だけを当てはめて、それが実現できるかというと、そういうわけではない。与えられた環境と目指す方向とこのギャップをどうやって埋めていくのか。ヒントが(スフィア基準に)色々と書かれているのではないか。