2025年1月、福島県のJR郡山駅前で10代の受験生が車にはねられて死亡した事故で、危険運転致死傷などの罪に問われている男の裁判で17日午後、男に懲役12年の判決が言い渡された。判決を受けて遺族は「どうしてこんなに刑が軽いのでしょうか。到底納得できない」などとコメントしている。
10代の女性はねられ死亡…4カ所で信号無視繰り返す
懲役12年を言い渡されたのは池田怜平被告(35)。

起訴状によると、池田被告は2025年1月22日の早朝、酒を飲んで車を運転したうえ、赤信号を無視して時速約70kmで交差点に進入。

大阪から大学受験で郡山市を訪れていた10代の女性をはねて死亡させたなどとして、危険運転致死傷と酒気帯び運転の罪に問われている。

裁判の争点は、信号無視が故意によるものか、過失によるものかだ。

検察側は信号表示に従うことができたが4カ所で信号無視を繰り返し、加速しながら交差点に進入していることなどから、信号表示に従う意図がなかったと指摘。

危険運転致死傷罪が成立するとしたうえで、「危険性が極めて高い無謀な運転によって尊い命が奪われた」などとして、懲役16年を求刑した。

これに対し、池田被告の弁護側は「池田被告が飲酒をし注意力が散漫になっていた。事故直前はエアコンのダイヤル操作で視線を落としていて、信号を故意に無視したとは言えない」として、危険運転致死傷の罪は成立しないと主張した。
亡くなった女性の母親が証言台に
この日の裁判では、亡くなった女性の母親が証言台に立ち、次のように述べた。

亡くなった女性の母親:
朝6時ごろ娘から電話がありました。買い物に行くついでに、駅前のA店かB店でご飯を食べてくると言っていました。あと1分でも2分でも長く電話をしていたらと思うと無念でなりません。

そして、母親はこみ上げる怒りを必死に抑えながら、厳罰を求めた。

亡くなった女性の母親:
この怒りと悔しさと深い悲しみは言葉では言い尽くせません。私は娘を殺されたと思っています。

そして迎えた17日午後3時、下山洋司裁判長は「重大な結果を生じさせる危険性が高い無謀な運転といえる。アルコールが残っていることを自覚しながら運転するなど、あえて無謀な運転を継続した意思決定は厳しい非難に値する」と指摘。

裁判長は危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役12年の判決を言い渡した。
判決を受けて遺族は「どうしてこんなに刑が軽いのでしょうか。懲役12年はあまりにも刑が軽い。私たち家族にとっては大切な娘の命が奪われたのですから、到底納得できないものです」とコメントしている。
(「イット!」9月17日放送より)