記録的な大雨の被害から9月11日で1カ月が経過した。熊本県では一連の大雨で4人が亡くなり、1人がいまなお安否不明となっているが、土砂崩れで男性1人が亡くなった甲佐町を取材し、家族を失った妻が今のつらい胸の内を語ってくれた。
大雨から家族を守ろうと土砂崩れに...
8月11日、甲佐町豊内で発生した土砂崩れ。被害に遭った住宅の住民は避難して無事だったが、その隣に住む増田佳明さん(57)が大雨から家族を守ろうとして亡くなった。

11日午前4時すぎ、家の周囲には約60センチまで水が上がり、妻・安理沙さんは1歳と4歳の子どもと共に、車に乗ったものの道路側は水が深く、仕方なく山側に車で避難。

塗装業を営んでいた佳明さんは、水に浮いた仕事の道具で近所に迷惑がかからないようにと見回りつつ、外から車の窓を指でたたいて、子どもたちが不安にならないように気遣っていたという。佳明さんはその後、間もなく土砂崩れに巻き込まれた…。
「やっと声を出して泣けるように...」
あの日から1カ月となった9月11日、妻の安理沙さんを訪ねてくる人の姿もあり、「いい旦那さんだった。私の畑仕事も手伝ってもらって」と話す。

安理沙さんは「最近になってやっと声を出して泣けるようになった」と、つらい胸のうちを語ってくれた。

「夫に『これからやりたいこと10個書いて』と言うと『私と幸せになりたい』と一つだけ書くような人でした。起きたことは仕方ありません。子どもたちのことは私が必死になればできるから大丈夫」と佳明さんに語りかけた。
(テレビ熊本)