シュプレヒコールを上げながら街を行く人々。ネパールで、Z世代を中心に起きた大規模な反政府デモの様子。

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キッカケとなったのは、政府が行ったSNSへのアクセス禁止措置。ネパール政府は4日、SNS上でニセの情報が広がっているなどとして 期限内に届け出を行わなかったInstagramなどへのアクセスを禁止した。
若者たちはこれに抗議の声を上げ、デモに発展した。

バリケードに加え、放水などで鎮圧を図ろうとする現地警察。強力な水圧により、デモ参加者は吹っ飛んでいる。

それでもデモの勢いは収まらず、国会議事堂近くの制限区域まで広がり、一部が暴徒化。
そのため、警察が発砲するなどして、これまでに19人が死亡、約400人が負傷した。

デモ参加者:
警察は無差別に、膝より上を狙って発砲しています。そんなことが許されるのでしょうか?

一部で、“Z世代のデモ”と呼ばれている今回の事態。参加者らの訴えは「SNS禁止の撤回」と共に「議員による汚職」への抗議だった。

デモ参加者:
政府によるSNS禁止は完全に言論の自由に反していて、独裁者のように我々を支配しようとしています。地方から中央まで国中の腐敗した議員に国民はうんざりしています

ロイター通信などによると、抗議の高まりを受け、ネパール政府は8日夜、SNSの禁止措置を撤回したという。

そもそもネパール政府は、なぜSNS禁止を打ち出したのか? 

宮司愛海キャスター:
ネパール政府はなぜSNSの使用を禁止したのか?ニセの情報が広がっていることを背景に、SNSの運営企業に国内での正式な登録を求めていましたが、期限までに対応しなかったためアクセス禁止を発表したという。

イット!では9日午後、カトマンズに暮らす、ネパール人男性、シベスさんに話を聞いた。
「2週間ほど前から政府がSNSをコントロールしようとする動きがあった。ネパールで1番使われているバイバというSNS以外、例えばYouTubeやFacebook、ワッツアップ、ラインなどが使用できなくなり、家族とも連絡がとれなくなってしまった」と話をしていた。

宮司愛海キャスター:
さらに、政府の対応について、SNSでは「政府が汚職をしている」などと言った批判的な投稿が常にあるという、ネパールでは2年後に選挙を控えるなかで、SNSの禁止に乗り出したとの見方も現地では広がっているという。

青井実キャスター:
政府はSNS禁止を撤回しましたが、今後、デモは収束に向かうのか?

宮司愛海キャスター:
ネパール人の男性によると…「このまま収束に向かう可能性は低いのではないか」「今回デモに参加したのは13歳~28歳のZ世代が中心だったが、死者が出たことで全世代に広がりを見せ、政権交代を掲げる動きに発展していく」という。

青井実キャスター:
山口さんに伺いますが、ネパールは2023年に汚職事件の摘発が相次ぐなど不安定な政治状況が続いている中でだが、どう見る?

SPキャスター・山口真由氏:
第一義的には政府に責任があるのはもちろんだが、プラットフォーマー側には責任がないのか。ネパールの求める事前登録は、それ自体は決して不可能なものではなかった。それを再三言われても無視した。ばく大な利益を上げてインフラになったプラットフォーマーというのは、今後、ある程度、責任が求められるのではないかと思う。

(「イット!」9月9日放送より)