齋藤聡海上幕僚長は9日の記者会見で、不祥事を受けて海上自衛隊をより精強・誠実な組織にするための検討「よりS2検討」について、「声をあげることができるんだという意識が徐々に浸透してきているのではないか」と述べた。
海上自衛隊を巡っては、潜水手当の不正受給や、特定秘密の漏洩などの不祥事が相次いだことを受けて、組織の態勢の改善に向けて検討を進めてきた。
齋藤海幕長は着任当初から力を入れて取り組み、部隊視察の際に、数人の中堅海曹と車座を実施するなど、隊員の声を聞いてきた。
会見で齋藤海幕長は、「積極的にいい意見が出て、海幕長として心が折れるような厳しい意見もあった。逆に言うと、それはありがたい」と振り返った。
海上自衛隊は、そうした部隊の声を聞いた上で、不祥事などが起きた根本原因を分析し、処遇改善や隊員への教育・指導などの改善策を行った。
例えば、「隊員の士気を高めるための処遇が不十分」との声を受け、処遇を改善。
「手当を受給する要件についての認識が不十分であった」との声を受け、手当の受給に関する参考資料を作成。
さらに、「一部業務が多忙であったためミスを起こした」との声を受け、停泊中の作業を減らすことやAI(検討)の導入を検討しているという。
齋藤海幕長は、「『よりS2検討』を粘り強く継続していく」と強調し、「今後は、隊員、チーム、システムの3つの切り口で、それぞれ見方、やり方を変えながら進めていきたい」と述べた。