佐賀県警の科学捜査研究所の40代男性職員がDNA鑑定作業を不適切に行ったとして懲戒免職処分を受けた。件数は7年間で130件。殺人未遂事件などの証拠もあり、「冤罪事件を生む可能性もある」深刻な問題だ。

不適切DNA鑑定 7年間で130件

「申し訳ありませんでした」と述べたあと、佐賀県警の井上利彦首席監察官は深々と頭を下げた。(2025年9月8日)。

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DNA鑑定作業を不適切に行ったとして懲戒免職処分を受けたのは、佐賀県警察本部の科学捜査研究所に所属する40代の職員。

佐賀県警によると、職員は2017年6月から2024年10月までの7年間にわたり、DNA型の鑑定作業で検査を実施したと装い鑑定したように見せかけたり鑑定後の資料を紛失したりするなど、130件の不適切な鑑定を行ったとしている。

16件は殺人未遂事件などで証拠に

また、このうち16件は殺人未遂事件などで証拠として使われているが、検察の判断の結果「公判に影響はない」としている。

去年(2024年)10月、上司が書類の不備に気づき発覚したもので、佐賀県警は9月8日付でこの職員を懲戒免職処分とした。

「上司に仕事ぶりをよく見せるため」

この科捜研の職員は不適切なDNA鑑定を行ってきた理由について、「上司に対して自分の仕事ぶりをよく見せるため。仕事が遅いと指摘されるのを避けるため」と話しているという。

佐賀県警察本部は検査のチェック体制の見直しなど再発防止に努めるとしている。

「冤罪事件を生む可能性があった」

科捜研の不適切なDNA鑑定という異例の不祥事。「警察の信頼に対する裏切り行為」とも言える深刻な問題だ。フジテレビ報道局解説副委員長の平松秀敏氏は次のように指摘する。

フジテレビ報道局 解説副委員長 平松秀敏:
これは一歩間違えると冤罪事件を生む可能性があったわけですよ。そうすると警察の信頼に対する裏切りと言えると思います。もうひとつは今の日本の警察捜査、刑事事件の捜査においてDNA鑑定というのは本当に最大の武器といってもいいと思うんですよね。最大の武器ともいえるDNA鑑定に関する信頼をも裏切ってしまった。このふたつの裏切り行為というのが非常に重く見られていると思います

また、今回の問題の背景について次のように指摘する。

フジテレビ報道局 解説副委員長 平松秀敏:
科捜研というのは警察組織でありながら警察組織ではないという部分があります。そういう部分がなかなか不正だとか不適切な行為だとかが発覚しなかった理由ではないかなと

「科捜研というのはひとつ聖域」

では今回のような事件の再発を防ぐために警察に求められることは何なのか。

フジテレビ報道局 解説副委員長 平松秀敏:
科捜研というのはひとつ聖域という部分があるんですよね。そういう聖域を設けず、いろんな不適切な行為はありえるだろうという、そういう前提でチェックしていかなければいけない、監視していかなければいけないということが今後の課題だと思いますね

(サガテレビ)

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