大衆居酒屋やライブハウスが立ち並び、サブカルチャーの街としても知られている東京の高円寺。
中でも、レトロな雰囲気で人気のガード下の商店街が再開発によって姿が変わることに。
この再開発を巡り、さまざまな声が上がっているようです。
8日の「ソレってどうなの?」は、「昭和レトロ“ガード下”再開発に困惑?」をテーマにお伝えします。
再開発が進められているのは、JR高円寺駅のガード下から阿佐ヶ谷方面に200メートル余り延びる商店街、高円寺ストリートです。
高円寺ストリートにはスナックや居酒屋などが並び、ノスタルジックな雰囲気を感じます。
他にも手ごろな価格の飲食店や、レアなおもちゃがずらりと並ぶ玩具店などが軒を連ねています。
そんな商店街の再開発の計画が持ち上がっています。
その理由が老朽化です。
商店街は国鉄時代の1966年、線路を高架にしたことをきっかけに作られて約60年。
駅近くの一帯はすでに改装されていて、2023年3月には飲食店の複合施設「高円寺マシタ」がオープンしています。
しかし、この再開発計画に地元からは困惑の声も上がっているようです。
商店街を取材していると、「JRから来年の3月までの立ち退きを求められています」というポスターが貼られていました。
2024年の秋ごろ、土地の持ち主であるJR東日本都市開発から2026年の春までに退去するよう通告があったといいます。
商店街で約40年にわたり玩具店を営んできた店主は、“昭和レトロ”の雰囲気を残してほしいと訴えます。
ゴジラや・木澤雅博店主:
若い人たちが写真撮ったりとかすごく懐かしがって、 昭和世代じゃない人が懐かしがっている。ほとんど昭和の匂いの通りっていうのは本当なくなったので、決してきれいな通りでじゃないが、昭和の味わいをみせるにはここは絶対大事。
再開発について、どのように感じているのでしょうか。
ゴジラや・木澤雅博店主:
これがきっかけで(店を)やめるとかもあるので、僕はできたらとりあえず白紙撤回。理想はそうですが、でもそうじゃなければ3~5年ぐらい猶予がほしい。
移転をするにしても、もう少し時間が欲しいということでした。
そして、こちらの飲食店はカレーやラーメンを450円からと良心的な価格で提供。
再開発に困惑している店の1つです。
中国出身の田渕さんにとって、亡くなったご主人との特別な思い出が詰まった場所です。
タブチ・田渕玲さん:
思い出深かった。いきなり涙ポロポロ出ちゃう。我慢できないぐらい。店なくなったら、思い出なくなっちゃう。2人でここで何十年、毎日日々思い出出てくるから、これ(店が)なくなったら本当つらいと思う。
多くの常連がこの店の味を求めていることもあり、店を移転し別の場所で営業を続けるということです。
常連客は「ママさんが出す味は本当に最高なんで、なくさないでほしい。我々常連客として、何かできればと思ってます」と話していました。
商店街の香取会長は、老朽化のための再開発にも一定の理解は示しつつ、複雑な気持ちを明かしました。
高円寺駅西商店会・香取孝会長:
(移転となれば)家賃はだいぶ上がるみたいだけど、それはしょうがない。(一方で)商店街としては、商店街は残したいというあれ(思い)がある。
青井実キャスター:
老朽化による再開発、どう思われますか?
SPキャスター・岩田明子氏:
安全確保という観点からは老朽化対策は必要なんですが、歴史とか文化とか空気感って一度なくなってしまうとなかなか取り戻せないので、まさに知恵が必要だなと思います。
JR東日本都市開発の担当者に、高円寺ストリートの再開発を行う理由について取材しました。
ジェイアール東日本都市開発・和田俊文部長:
高架下の店舗が築でいうと60年近くたっているということもあり、非常に大きな地震や高架下という特徴で火災が起きるリスクというものを我々は懸念している。規模にもよるが、炎や煙というものが出ると上を走っている鉄道にも影響してくる。
再開発に向けての商店街の解体工事は、2026年の春に行うことを想定しているといいます。
その後、この場所は何ができるのでしょうか。
ジェイアール東日本都市開発・和田俊文部長:
当該のエリアのその後と言うことについては、検討はしておりますけど、まだ具体的に何か決まっているというわけではございません。できるだけ高円寺の地元の皆さま方にご利用いただけるような店や、そういった空間を準備して快適にご利用いただけるようにしたい。
昭和レトロな街並みが少しずつ消えてしまうのは残念ですが、安全対策も重要な課題です。
地元住民の方への丁寧な説明で折り合ってほしいですね。