(石破首相会見つづき)
賃上げにつきましても、確かに潮目の変化は現れておりますが、物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、実感をしていただくためには、さらに取り組みを加速させることが必要であります。
都会であれ、地方であれ、男性であれ、女性であれ、働きたい方が年齢を問わずに働ける社会にしていかなければならない。
労働に見合った対価を得られるようにしなければならない。
これは私の確固たる考えであります。
特に介護、福祉、医療など我々の生活を支えていただいている皆さん方には、より高い報酬が支払われるべきであります。

賃上げが当然であるという考え方の定着、労働分配率を上げる企業行動の変容、それらを促し、きめ細かく支援する政府のさらなる取り組みが必要であります。
賃上げが消費に結びつくそのような候循環を実現するために、セーフティネットとしての社会保障制度、持続可能な社会保障制度、次の時代にもきちんと機能する社会保障制度、安心の確保は、国家にとって、国民にとって不可欠の課題であります。

消費税がその貴重な財源であるとこの認識に変わりはありませんが、消費税や社会保険料が現役世代の方々、とりわけ所得の低い方々にとって負担感が極めて強いということも肌身で実感をしておるところでございます。

医療、介護、年金などの社会保障制度について、責任を持って次の時代に引き継ぐために、給付と負担のあり方も含め、与野党を超えて議論を進めていく必要がございます。

米国との関税交渉については、この度成立した合意により我国の経済安全保障の確保経済成長の大幅な加速を目指す、その礎ができたものと確信をしておりますが、これで決着ではありません。
これから合意の実施を確保すること。
そして、新たな懸念が生ずれば、それに対応していくことが必要であります。

私どもの政権とトランプ政権との信頼関係のもとで成り立った合意でございますので、私どもの政権において、その責任を全うすべきでありましたが、このような形になったことは、実に心残りであります。
我が国は輸出の品目が6000ございます。
その中で、対米輸出品目は4000を超えております。
1つ1つの輸出品目、それぞれを取り扱っておられる企業、事業者の皆様方そういう方々の持っておられる不安をきちんと払拭をし、そして、さらに強い日本の経済を作っていかねばなりません。

ぜひ新しい政権も日米両国政府の信頼関係を引き継いでいただき、合意の実施を確実にしていただきたい、このように強く思っております。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応するため、防衛力の抜本的強化を着実に進めてまいりました。
どんなに立派な飛行機や車両や船を持っても、それを動かしていただく人がいなければどうにもならない。就任以来、申し上げてきたことでございます。
人的基盤である自衛官の皆さん方の処遇の改善について、関係閣僚会議を設け政府を挙げて取り組み、一定の成果が現れ始めております。

先日、中国で行われた軍事パレード、中国、ロシア、北朝鮮の首脳が並んで立つ姿を目の当たりにするとき、今後さらに厳しい安全保障環境になる、その危惧を禁じえません。

カナダ・カナナスキスのG7サミットでも、私は何度も申し上げたことですが、欧州、中東、東アジアの安全保障環境は互いに密接に関係しております。
米国の核抑止力の信頼性の確保、シェルターの整備など我国の抑止力を高めていくことは喫緊の課題であります。

ウクライナに起きる戦闘に見られるように戦い方は急速に変化をしております。
我国の防衛力の自主的な教訓、誰から言われたからではない。
自主的に防衛力を強化する。それにさらに取り組んでいかねばなりません。
それと同時に各国との対話を通じた信頼構築、これに取り組んでいかねばならないことは言うまでもございません。

拉致問題の本質は国家主権の侵害であり、拉致被害者の方ご家族がご高齢となる中で時間的制約のある、一時も揺るがせにできない人道問題であります。
日朝平壌宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の1日も早いご帰国、北朝鮮との諸課題の解決に向けて努力をいたしてまいりましたが、その結果を出すことができませんでした。痛恨の極みであります。
政治改革につきましては、昨年、総裁として政策活動費の廃止、いわゆる旧文通費の使途公開と残金の返還の政治資金規制法に基づく第三者機関の早期設置という方針を示し、昨年末には政治改革法が成立をいたしました。

それでもなお、政治と金の問題をはじめ、国民の皆様方の政治に対する不信を払拭することは未だにできておりません。
このことは私にとって最大の心残りであります。
我が自由民主党はけじめをつけなければなりません。
我が自民党は今さえ良ければいいとか、自分さえ良ければいいとか、そのような政党であっては決してなりません。
寛容と包摂を旨とする保守政党であり、真の国民政党であらねばなりません。
我々自民党が信頼を失うことになれば、日本の政治が安易なポピュリズムに堕することになってしまうのではないか、その危惧を私は強めております。

私としてはまだやり遂げなければならないことがあるという思いもある中、身を引くという苦渋の決断をいたしました。
それはこのまま党則第6条第4項に基づく臨時総裁選要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な分断を生みかねないと考えたからであり、それは決して私の本意とするところではございません。
自民党の皆様にはその思いを共有していただき、ともにこの難局を乗り越えていただきたいと心から強く願っております。
古い自民党のままであると、何も変わっていない、国民の皆様から見られるようであっては党の明日はございません。
真の意味での解党的な出直しを成し遂げなければなりません。
本日この場をその一歩とすることができますよう、党員党友の皆様方のお力を賜りますように心よりお願いを申し上げます。
国民の皆様方にはこのような形で職を辞することになったこと、大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございません。

残された期間、全身全霊で国民の皆様方が求めておられる課題に取り組んでまいりますので、何卒ご理解を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。
私からは以上であります。
ありがとうございました。

TSKさんいん中央テレビ
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