“普通”とは何か。セクシュアリティーに悩む高校生の葛藤を描いた映画が9月5日から岡山市で上映されます。岡山市出身の監督に作品に込めた思いを聞きました。
映画「水の中で深呼吸」。主人公は水泳部に所属する高校1年生の葵。葵にはある悩みがありました。
同級生に抱く気持ちが、友情なのか何なのか。自分の中の「分からない」感情に葵は葛藤します。「普通とは何か」と、もがきながら自分と向き合う様が描かれています。
監督を務めたのは岡山市出身の安井祥二さん。2023年には母親の厳しいしつけのもと、懸命に生きる少女を描いた短編映画で「キネコ国際映画祭」の国際審査員特別賞を受賞しました。
安井監督は今回、LGBTQ+をテーマに映画を制作した理由をこう話します。
(安井祥二監督)
「周りに男性が好きか女性が好きか分からない、悩んでいるという人がいた。その感情が何なのだろうと思い興味を持った。調べていくうちにそれがLGBTQ+のQにあたると知り、取材をしていった」
取材を進める中で自身に大きな影響を与える出来事があったと言います。
(安井祥二監督)
「当事者に「あなたはなぜ同性を好きになったんですか」と聞いてしまったことがあった。相手から「では安井さんはなぜ女性を好きになったんですか」と返され、すごく失礼なことをしてしまったと思った。自分が知らないことで人を傷付けることがあると感じた」
知ることの大切さが作品の礎になったという安井監督。作品に込めた思いを聞きました。
(安井祥二監督)
「悩むことを肯定できる映画を作りたい。すごく曖昧な感情とか。物語がLGBTQ+のQの部分なので、男性か女性かの二元論ではないところで考えたい」
「見た人にほんの少しだけ優しい気持ちになってほしい。曖昧な感情などを受け入れてあげるような、知ってあげられるような、どちらも選べないところに居ても良い。どっちかを選ばなくても良いと思ってもらえたらうれしい」
映画「水の中で深呼吸」は7月から順次、全国公開されていて、9月5日から、岡山市のイオンシネマ岡山で上映されています。6日は安井祥二監督と主演の葵を演じた石川瑠華さんの舞台挨拶が行われます。