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プレスリリース配信元:マンションリサーチ株式会社

環状16号線とマンション市場の関係
マンションを購入する際、不動産業界では昔から「環状16号線の内側で買え」という言葉がよく使われます。これは一種の指標のようなもので、マンション資産性を考える上で重要な判断軸になってきました。

図1:16号線内側マンションと駅の分布


出典:福嶋総研


ではなぜ「16号線の内側」という基準が存在するのか。その理由を整理してみると、首都圏における分譲マンションの供給状況や、居住者ニーズの集中度が密接に関わっていることが分かります。
実際に分譲マンション分布を示した地図(図1)を見ると一目瞭然ですが、環状16号線の外側には分譲マンションそのものがほとんど存在していません。16号線は東京を中心に神奈川・千葉・埼玉の主要都市を結ぶ環状道路ですが、その外側は戸建て住宅中心の郊外型住宅地や農地・工業地帯が多く、マンションを供給するための需要・土地条件が整っていないケースが多いのです。したがって「内側で買う」という表現は、そもそも分譲マンションの市場が成立しているのは16号線の内側が中心である、という事実を示しているに過ぎません。


都心直結路線とマンション供給の関係
では16号線の内側であればどこでもよいかというと、当然そうではありません。次に注目すべきは「鉄道路線」と「都心への直通性」です。
マンションの分布を改めて観察すると、供給が集中しているのは東京都心に直通する路線の沿線上です。これは極めて合理的な現象であり、資産価値と居住性を兼ね備える条件として「都心へのアクセス」が何よりも優先されるからです。
例えば中央線、東急東横線、京浜東北線、小田急線などは都心部の主要駅に直結しており、沿線は通勤・通学の利便性が高いことからマンション開発が盛んです。結果として需給が集中し、資産性が保たれやすい。逆に都心と直接結び付かないエリアでは需要が限られ、マンションの資産性を維持するのが難しくなる傾向があります。
坪単価高騰率から見る資産性の集中

図2:エリア別高騰率


出典:福嶋総研

次に、価格動向から資産性を検討してみましょう。図2に示した2024年対2023年のエリア別平均坪単価高騰率では、赤プロット(20%以上の高騰)が集中するエリアが浮き彫りになります。特に山手線の内側は圧倒的に赤の密度が高く、その中でも皇居の西から南にかけての一帯、つまり渋谷区・港区周辺は日本で最も価格の高いエリアに位置付けられます。

図3:山手線内側の高騰率


出典:福嶋総研

渋谷区や港区は、IT企業や外資系企業が集積し、グローバルなビジネスの拠点となっているだけでなく、商業施設や文化施設も集中しているため生活利便性・ブランド力の双方を兼ね備えています。そのため国内外の投資家からも注目され、需給が過熱しやすい。まさに「資産価値の中枢」と言えるエリアです。
埼京線沿線の意外な健闘

図4:埼京線の高騰率


出典:福嶋総研

一方で興味深いのは、埼京線沿線の動きです。従来の感覚では、荒川を越えて埼玉県側に入ると都心との距離感から資産性は下がると考えられてきました。しかし実際のデータを見ると、むしろ荒川を越えた方が赤プロットの密度が高まっています。これは非常に特徴的な現象です。
背景には、浦和・大宮といったターミナル都市の再開発があります。大宮駅周辺は新幹線や在来線が多数交差するハブ拠点であり、商業施設やオフィスの集積も進んでいます。浦和においても行政・教育拠点としての地位が高まり、住環境の魅力が増しています。こうした都市機能の向上が住宅需要を喚起し、結果として周辺のマンション価格にも波及していると考えられるのです。つまり「東京の延長」としてだけではなく「独立した都市圏」としての魅力が価格を押し上げているといえます。


マンション資産性を考える合理的な基準
以上を踏まえると、マンション購入において重要なのは「環状16号線の内側」という単純な地理的基準だけでなく、次のような複合的な判断基準です。

1.都心へのアクセス性
  直通路線かどうか、所要時間はどの程度か。
2.エリアの再開発・将来性
  駅前の再整備や商業施設の誘致など、将来需要が高まる施策があるか。
3.居住利便性
  生活インフラ(学校・病院・買物施設)や行政機能が整っているか。
4.ブランド力と需要の持続性
  渋谷区・港区のように国内外からの需要が集中しやすい地域か。

こうした基準を「路線」「駅」単位で見極めるのが、資産性と居住性を兼ね備えた合理的な判断につながります。単に「都心に近いから良い」という発想ではなく、どのように都市機能や需要が変化していくかを読むことが求められるのです。
今後の展望と購入者への示唆
首都圏のマンション市場は今後も二極化が進むと考えられます。山手線内側や再開発が進む拠点都市周辺では引き続き高騰が予想される一方、需要の薄いエリアでは価格が停滞、あるいは下落するリスクもあります。購入者にとっては、表面的な価格だけでなく、需要の裏付けや将来性を読み解く力が不可欠です。
その意味で「環状16号線の内側」という言葉は、資産性を意識した購入の第一歩を示す指標に過ぎません。本当に重要なのは、その中でどの路線・駅を選び、将来的な都市発展の流れをどう読み取るかという点です。都市開発と居住ニーズが交差する場所を見極めることが、今後のマンション購入で最も合理的かつ確実な判断になるでしょう。

筆者プロフィール


福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室 
不動産データ分析責任者

福嶋総研
代表社員



早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。

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【マンションリサーチ株式会社について】
マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。

会社名: マンションリサーチ株式会社
代表取締役社長: 山田力
所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階
設立年月日: 2011年4月
資本金 : 1億円

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