医師らの研究費など、約700万円を横領した罪に問われていた熊本・玉名市の旧公立玉名中央病院の元院長に、熊本地裁は9月3日に「横領行為を認めるには合理的疑いが残る」として、元院長に無罪を言い渡した。

約700万円の横領の罪に問われた元院長

無罪判決を受けたのは玉名市にある、現在のくまもと県北病院、当時の公立玉名中央病院で院長を務めていた、医師・中野哲雄さん。

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判決などによると、中野さんは2016年、整形外科グループ長として医師らの研究や業務などのために管理していた中野さん名義の口座預金のうち、車を購入するための費用として約700万円を横領した罪に問われていた。

中野さんはこれまでの裁判で起訴内容を否認し、無罪を主張。預金が病院のものなのか、それとも中野さんのものなのか。また、病院が、中野さんに口座預金の使い道を研究や業務などに限定して管理を依頼していたかどうか、が主な争点となっていた。

「横領認めるには合理的疑いが残る」

9月3日の判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は「中野さんは口座開設に当たり、住所や連絡先を病院としていて、預金が中野さん個人のものとは考え難い」とした。

その一方で、「証人の供述などから、預金の使い道は病院の各科の医師の裁量に委ねられていたものとみる余地が十分にある」と指摘。「病院が預金の使い道を限定して、口座の管理を中野さんに依頼したとは認められず、横領行為を認めるには合理的疑いが残る」として無罪を言い渡した。

終了後、弁護団が会見を開き、「裁判所に正しい判断をしていただき、ホッとしている」という中野さんのコメントを発表。一方、熊本地検は「判決内容を確認し、適切に対応したい」とコメントしている。

この問題をめぐっては、中野さんは6年前に病院を懲戒解雇処分となっていて、この取り消しを求める民事裁判も続いていて、病院は「状況を把握できていないのでコメントを差し控える」としている。

(テレビ熊本)

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