子供たちの夏休みが終わりましたが、9月になっても気温35度を超える厳しい暑さが続いています。子供たちを熱中症から守るため、東海3県ではさまざまな「暑さ対策」を取り入れています。

■子供たちを守れ!教室に“ひんやりグッズ”の冷凍庫
岐阜県美濃加茂市の蜂屋小学校、下校前、子供たちが机の前に集まっています。
先生:
「今日もとっても暑いですので、熱中症対策をきちっとしてください」
子供たちが首につけたのは、冷たいネッククーラーです。教室の黒板の横には冷凍庫が設置されていて、子供たちのひんやりグッズが冷えた状態で入っています。

美濃加茂市では、子供たちの中症対策として、市内にある9つの小学校に、夏休み明けから冷凍庫が設置されました。1クラスごとに設置していて、子供たちが早速使っていました。
児童ら:
「冷凍庫がないと、夕方になるとぬるくなっちゃって。暑いけど、涼しく帰れそうです」
「すごく暑くて倒れそうです。40~50分くらい(歩く)。すごく冷たくて涼しいです」

美濃加茂市教育委員会の古川一男教育長:
「2キロ前後の距離を登下校してくる子供たちも何人かおります。そうした子供たちの助けに少しでもなれば」
異常に暑い夏は、未だ過ぎ去る気配がありません。
愛知県一宮市の河川敷にある「巨大気温グラフ」は、8月末までの夏休み期間の最高気温を布の長さで示したものです。35℃以上を示す布が端から端まで並び、猛暑だったことが一目瞭然です。

気象庁によりますと、名古屋市の8月の平均最高気温は36.6度で、50年前と比べ5.5度も上昇しました。気象庁も「異常気象だった」という暑さです。

9月2日の最高気温も、名古屋で38.0度、岐阜県美濃市で37.8度、三重県伊賀市上野で37.0度など、各地で猛暑日となりました。
街の人ら:
「暑いから日傘がいるね。前は、こんなクーラー漬けの毎日じゃないもんね」
「真夏でも暑いのが好きだったからゴルフとかやっていたけど、今はゴルフはとてもできないね」
■「手持ち扇風機」に「自動販売機」も…対策進む
名古屋市東区の東桜小学校では、登下校の際に手持ちの扇風機を使うことが、2025年から認められました。

児童ら:
「ちょっと変わるかな」
「涼しいけど、暖かい空気が流れてくる」
愛知県長久手市の東小学校には、スポーツドリンクやお茶などが買える自動販売機が設置されました。

市は熱中症対策として全ての公立小学校に新学期から設置し、200円を上限に子供たちのお小遣いを認め、冷たいドリンクを買えるようにしました。
長久手市教育委員会の担当者:
「1日学校にいると、足りなくなる子も多いので、補充するイメージで導入しました。お金を持ってくることに心配の声はありましたけれども、命が一番ですので」
子供たちはこれまで、水筒の飲み物が無くなると、水道水などで水分を補給していました。
児童ら:
「冷たいのがいつでも飲めるからうれしい」
「外で運動するクラブ活動に入っていたので、下校する時に飲み物がなくて大変なことがよくありました」
■昔とは“暑さ”が違う…子供たちのために「できること」
学校の熱中症対策は各地で進んでいます。

愛知県幸田町の豊坂小学校では、通学路に給水ポイントが設置されました。地元にある会社の玄関前にウォーターサーバーが置かれ、給水場となっています。
会社の社長が汗だくで登下校する児童を見て、町に掛け合ってウォーターサーバーを設置しました。2020年から始まり、学校公認の「寄り道スポット」となっています。

岐阜県川辺町では、普段は町議会議長が乗る公用車を、子供たちの送迎に使用しています。
川辺町では、2025年7月から児童の熱中症対策として、町内3つの小学校に通う1・2年生のうち、通学距離が2.5キロ以上ある児童は、教師同乗の上、町の公用車で下校させています。

名古屋で8月に35度以上の「猛暑日」となった日数の推移をみると、50年前の1975年は猛暑日が1日もありませんでした。
1995年の夏は、太平洋高気圧がかなり強かったなどの影響で猛暑日は「24日」ありましたが、2025年はこれを上回る「25日」となりました。
危険を避けるために、今と昔とでは「夏の暑さ」が違うということを、改めて認識する必要がありそうです。