伊東市議会は8月30日、9月定例会に向けた各会派の代表者による会議と議会運営委員会を開催し、田久保眞紀 市長に対する不信任決議案を招集日である9月1日に提出することを決めました。土曜日に代表者会議や議会運営委員会が開かれるのは極めて異例です。
伊東市の田久保眞紀 市長は、市が発行した広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載しながらも実際には除籍だったことがわかっていて、本人もこの事実を認めています。
これを受け、市議会では地方自治法に基づき強い調査権限を持つ百条委員会を設置し、広報誌の発行に関わる事務手続きなどについて調べた結果、8月29日に「市の広報誌に虚偽の事項が掲載された件は田久保眞紀 氏による不当行為があったことが専らの原因であると判定する」とした上で、東洋大学に対して行った文書照会の回答や提出された記録、証人の証言などを基に、「田久保眞紀 氏が繰り返し強く主張していた『6月28日に初めて除籍、卒業していないという事実を知った』という点は虚偽と判定する。『大学を卒業していたと勘違いしていた』とする主張については到底成立し得ないという結論に至っている。通常の常識を持ってすれば勘違いが起こり得る状況ではなかった」との結論をまとめました。
百条委員会に区切りがついたことから、8月30日は異例となる土曜日に正副議長と各会派の代表者による会議や議会運営委員会が行われ、田久保市長に対する不信任決議案を9月定例会初日の9月1日に提出することを決めました。
議会運営委員会では提出者を代表して四宮和彦 議員が「辞職の撤回など市民に対して不誠実。市内に大きな混乱を生んでいる。我々の力で止めなければいけない。信任しないという市議会側からの強いメッセージとして決議を行うべき」などと提案理由を説明し、各会派の代表者と会派に所属しない議員3人がいずれも賛同しています。
不信任決議の文案では、田久保市長について「自身の進退については、辞職の意向を示した後に2度にわたりその時期を示唆するも、これを軽々しく撤回するなど、このような市長としての職責や発言の重みを全く理解していない朝令暮改とも言える数々の言動により、多くの市民を困惑させ続け、今もなお市政を混乱させており、現に一連の騒動を原因として補正予算の編成が大幅に遅れることで、市民生活に影響を及ぼす事態に至るなど、市政の停滞が如実に現れていることから、その責任は重大であるとともに言語道断であると言わざるを得ない」と指摘した上で、「自身が疑念を持たれている不都合な事案に関しては、一切の説明責任を果たすことなく、法律解釈論を盾に強弁し自己保身に終始するなど、誠実さのかけらもないと言わざるを得ない態度であり、公人の振る舞いとしてふさわしくないという表現では足りず、市や市民全体を対象として、公平・公正を保ちながら、公益を優先した姿勢を担えるだけの判断力があるとは思えない」と厳しい言葉が並びました。
また、最後は「市長が辞職を撤回して続投しなければならないといった理由はなく、田久保眞紀 氏が市長である必要性や正当性の根拠はどこにもないことは明白である上、もはや本市の負の象徴として全国的に評判となってしまった田久保眞紀 市長が伊東市長であり続ける限り、基幹産業たる観光業、ひいては市民生活に暗い影を落とし続けることを危惧せざるを得ない」と糾弾し、「市政の健全性を一刻でも早く回復させ、行政機能の正常化を図るために、田久保眞紀 市長に対し即刻、辞職を求めるものである。よって、本市議会は、田久保眞紀 伊東市長を信任しない」と結んでいます。
田久保市長に対する不信任決議案は提出日と同じ9月1日に採決される見通しとなっていて、全議員の3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上が賛成が必要ですが、決議案の提出に全会派と会派に所属しない議員全員が賛同しているためすでに可決する公算は極めて大きくなっています。
不信任決議案が可決した場合、市長が10日以内に議会を解散しなければ失職となるため、田久保市長の判断が注目されます。