あなたは自分が書いた「日記」を見せられるだろうか?
大阪では「他人の日記」を読むイベントが賑わっている。
誰かの日記より:君からの好きだよをもらう。私、あきらめないから。ぜったい。
連日、客が絶えない、人気のワケは?
そして、人によっては「黒歴史」な、赤裸々日記をなぜ他人に公開したのかー。
日記を書いた本人に直接取材した。

■「日記」は誰にも見られたくない?
日記。それは、自分の心のうちを紙に託す、神聖な営み。
もしもそれが他人に見られたら、みなさんはどんな気持ちになるだろうか?
20代:見られたら嫌ですね。消し去りたくなります。ノートを。
70代:学生のころのは見られたくない。初恋もあったりして、恥ずかしい事とか書いたりしてるやん」
「ぜっっったいに見られたくない!」そんな日記を、あえて「のぞき見」するイベントが、大阪市北区で行われている。

■他人の日記「のぞき見」イベント なぜ大人気?
「北浜手帳ライブラリー」というイベントで読むことができるのは、「知らない誰かが書いた日記」200冊以上。
すべて寄贈されたものだ。
連日予約が絶えず、今月29日までの会期が、来月12日まで延長された。
一体どんな日記を読むことができるのか?
そして、何がそんなに来場者の心を掴んでいるのだろうか。
イベントを主催する 梅崎創さん:お待たせしました。こちら「277」です。続いて「304」です。
<日記の記述より>
Sさん(主婦?)の日記(1965年):きょうはパパのボーナス!どこにも寄らずまっすぐ帰ろう。
Yさん(男性)のラーメン日記:ビールを飲んでダラダラ。今年も平和だぜいっ!!
Mさん(女子大学生)の恋日記:君からの好きだよをもらう。私あきらめないから。ぜったい。
日記を読んだ人は…
40代:ほんとに何気ないこと書いてる。『風邪で寝る』って。

■「元号」とツーショットなのはなぜ? とりとめない疑問から恋心まで
元号が平成に変わった1989年に会社員の女性・Sさんが書いた日記を見てみると…
元号と官房長官のツーショット写真が納得できなかったのか、新聞への不満が綴られていた。
Sさんの日記より:どーして新聞にこの人の顔までのったのか。解せない。
ほかにも、1970年に警察官の男性・Mさんが書いた日記を見ると、大阪万博の開幕を喜んでいるようだ。
そして、日記に書くことと言えば…「恋心」。
Oさん(女性)の日記より:想う気持ちなんか知らなかった。自分のために愛していたから。安心できない。グッバイするならどっちに軍配?
書いた人に何があったのかはわかりませんが、ノートいっぱいにポエムがつづられていた。

■日記を読むことは「ネガティブな気持ち」を和らげる?
イベントを主催する 梅崎創さん:きょうもお越し頂きありがとうございます。ご存じだと思いますがまたお選びください。
この日、日記を読みにきた男性は、なんと「4回目」の来場。
何度も通ってしまう魅力とは一体なんなのだろうか。
30代:その時の感情とか、考えてることをそのまま誰にも見せる目も意識せずに書きなぐって、それを「追体験」として読ませていただくっていうのは、何かもう体験の深さが全然違う。
40代:本音の部分で頭の中で収めてることとか、心のうちに留めてあることを書いてあるのを見せてもらうことってまずないから、みんな(自分と)一緒なんだなって思いました。
そもそも「日記を書くこと」は心の健康に良い効果があるとされているが、「他人の日記を読む」ことも何か効果があるのだろうか?
公認心理士 南舞さん:他の方の体験って、結構自分の背中を押してくれるときってあると思うんですけれども、「自分だけがこんな気持ちになるわけじゃないんだな」と思うとちょっと安心するときありますよね。
読むことによって、「そんなこと考えてるの自分だけなんじゃないか」みたいな孤独感とか恥とか、そういうネガティブな気持ちを和らげる効果っていうのもあるんじゃないかな。

■「Aくんにふりむいてもらおう大作戦」の結果は?
イベントの魅力が見えてきたところで、疑問が湧いてきた。
自分のことを赤裸々につづった日記を寄贈した人は、どんな人だろうか。
例えば、この親子が読んでいるこちらの日記は「恋日記」。
女子大学生のMさんが書いたものだ。
Mさんの日記より:めざすのは…いつでも可愛い自分。Aくんに、ふりむいてもらおう!大作戦。きれいに整った前髪、ぷるんとしたくちびる。
当時、バイト先の先輩だった男性をふりむかせるための「作戦」がズラリと書かれている。
Mさんの日記より:12月10日忘れないなー。ふられたけど、まだ好きだし(笑)
しかし告白するも“玉砕”。
その後もMさんがアタックし、彼と遊びに行くようにはなるが…
きっぱりと別れを告げられ、会えなくなることになったようだ。
Mさんの日記より:ただーーーーあの人の特別になりたかったのーーーーしにてーーー!笑 人生やりなおしてー
日記を読んだ20代:最初は綺麗に書いてたんですけど、途中から字が汚くなったりとか。最後、仕事就職してうつ病になっちゃったみたいなのは見たんですけど、それでも元気に生きようとしてるんで、すごい見習わないとなと思った。
日記には「私は大丈夫。うつ病は治る」と何度も、書かれていた。

■「恋日記」作者と対面!
どんな人が書いたのか、イメージばかり膨らみ続けてしまう。
そこで、取材班が「話を聞きたい」と依頼すると…まさかのOK!
日記を書いた本人に会うことができた。
恋日記を書いたMさんこと三島さん:こんにちは~初めまして。三島です。
大学生のときに恋日記を書いたのは三島さんという25歳の女性でした。
記者:これが当時の日記なんですけれども。
三島さん:ありがとうございます。懐かしいですね。
記者:どうですか?当時の日記を見てみて
島さん:うーーーん。「若いな」と思いますね、まだ5年ぐらいしか経ってませんけど、 よくこんなおっきい感情抱けたなって思いますね。

■彼への想いは「日記」に吐き出して
当時好きだった“彼”への思いを聞くと…?
三島さん:(彼と)最初にお会いしたときからすごいもう電流走ったみたいな。「この人カッコいいな」みたいな。端的に言ったらタイプだったんですよ。キャー!みたいな。
でもやっぱり 告白して振られてたわけなんで、悲しい気持ちはめっちゃありましたよね。泣いたし。そういう気持ちに折り合いをつけるのにも、日記に書いてしまえば、吐き出せるから。

■当時の日記は「呪物」!? 寄贈を決めた理由
そして、今回一番気になっていた質問、「寄贈しようと思ったきっかけ」を聞いてみた。
三島さん:その彼の気持ちを赤裸々に語ってる日記は、もうなんか、「呪物」みたいな、なにか「怨念」を持ってそうだなと思ったんで。もう断捨離みたいな感じで。
ちなみに、当時の彼とはその後どうなったのか。
三島さん:先月ぐらいにそのバイトの同窓会があって、そこでテレビ電話を同期が繋いでくれて、4年越しに声を聞けました。精一杯、ちょっと前髪直してとかやって。
当時の自分に伝えたいですね。もうすごい絶望してるから、日記の中の私は。『ちゃんと会えるよ』って伝えたいですね。
当時の三島さんの日記より:あしたはいい日になりますように。

■誰かの人生を知ることができる「日記」
記者:これからも日記は書き続けられますか?
三島さん:そうですね、書きたいです。もうライフワークみたいな。私が生きてる限りはずっと続けていきたいなっていう気持ちでいます。
日記を通して、知らない誰かの人生を知る。
みなさんも、一冊いかがだろうか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月27日放送)
