任期満了に伴う大郷町長選は8月31日(日)に投票日を迎えます。現職と前町議会議長の新人の一騎打ちとなっている今回の選挙戦の最大の争点は、現職が進める「スマートスポーツパーク構想」です。
大郷町長選挙に立候補しているのは、届け出順に新人で前の町議会議長の石川良彦氏(73)と、6期目の当選を目指す現職の田中学氏(79)の2人です。
新人 石川良彦候補(73)
「皆さんが日々の生活の中で困っていること、そういったことを一つ一つお金のかからない方法で、今すぐやらなければならない。その中で今すぐできることを、皆さんの声に応えるべく取り組んでいく覚悟」
新人の石川氏は、2015年からおよそ10年間務めた町議会議長を7月辞職して、立候補しました。既存の公共施設を活用した屋内遊び場の整備や食品スーパーの誘致などを公約に掲げ、町の身の丈に合った財政運営を訴えます。
町議会議員11人のうち8人の支持を受け、選挙戦では、選挙カーを下りて有権者の声を丁寧に聞き支持拡大を図ります。
新人 石川良彦候補(73)
「今の状態を変えたい」
現職 田中学候補(79)
「どうか皆さん、力を集結して次の世代のために、我々団塊の世代はもう高齢だが、最後この町に対する奉仕という思いを、もう一度思い起こして頑張ろうではありませんか」
田中氏は、会社役員や町議を経て、1997年の町長選で初当選。学校給食費の無償化など、通算5期20年の町政運営の実績を掲げ、国会議員や市町村長などが応援に回ります。
訴えるのは、「若者から選ばれる、持続可能なまちづくり」です。
現職 田中学候補(79)
「この町をよくしたい、豊かにしたい。次の世代に、この町をどうやって贈り物にできるかということを考えると、絶対負けるわけにはいかない」
記者リポート
「現職と新人の一騎打ちとなった今回の大郷町長選挙。人口減少が加速する町の行く末をどう描くのか、“にぎわいづくり”が大きなテーマとなっています」
1985年の1万465人をピークに、今年1月時点の人口は7480人にまで減少した大郷町。人口減少対策が待ったなしの課題となる中、今回の選挙戦で最大の争点となっているのが、現職の田中氏が進める「おおさとスマートスポーツパーク構想」の是非です。
この構想は、台風19号で被災した粕川地区の農地にサッカー場12面や合宿施設を整備するというもので、町と運営主体の企業は年間の交流人口はおよそ70万人、税収効果は年間4000万円にのぼると試算しています。
大郷町 田中学町長(住民説明会)
「農地は大郷町を救うことができるよ。それが今計画している、この事業なんですよ」
一方で、構想をめぐり、町議会は揺れています。
町議
「もっと時間をかけて、総事業費がいくらかかるのかを、きちんと出してもらいたい」
町議
「消滅可能性自治体からの脱却という目標を掲げ、スタートすべきと判断します」
賛否が拮抗する中、わずかな差で反対多数となり、予算案は2度にわたり否決されました。
これに対し、賛成派の住民が議会の解散を求めて署名活動を開始。有権者の3分の1を超える署名を集め、選挙管理委員会は議会解散の是非を問う住民投票を正式に告示しました。
ところが、その後、署名の一部が無効であることが発覚し、仙台地裁は住民投票の執行停止を決定。裁判の結論が出るまで投票は実施できない状況となり、事実上、住民投票は棚上げされた形となっています。
今年6月の議会では、事業費が当初の3.3倍の8億8000万円以上になるとの報告が出るなど、構想の行く先は見えてきません。
構想について、町民の受け止めは様々です。
町民
「周りの自治体が施設の整備などが進んでいるのに、大郷町だけ遅れていると思う」
「身近なところからやってほしい。スポーツパークもいいがあまりに大きすぎる」
構想の見直しを訴える新人の石川氏に対し、これまで主導してきた施策を何としても実現したい現職の田中氏。
新人 石川良彦候補(73)
「通常のまちづくりが進んでいるのであれば問題ないが、これはちょっと違う。サッカー場だけでなく、子供たちが遊べるスペースを確保してほしいなどの声もあるので、その辺がどこまで実現可能か、町の財政状況と合わせながら、本町の財政の身の丈に合った事業を推進するしかない」
現職 田中学候補(79)
「スポーツパーク構想がなければ、わざわざ大郷町に何を求めに若い人たちが来るんですか?何もないですよ。結局は今回の選挙が、構想の是非に決着をつける大事な町民選択(選挙)」
見直しか、推進か。有権者の判断は、8月31日(日)に下されます。