9月7日に投開票の三重県知事選挙。待ったなしの課題が南海トラフ巨大地震をはじめとする「防災対策」です。2025年7月に各地を襲った津波で、見えた課題もあります。

2025年7月、カムチャツカ半島付近で発生した大地震。南海トラフ巨大地震の被害が心配される三重県でも津波警報が出ました。

尾鷲市では全域に避難指示が出され、多くの人が高台に避難しました。住民は当時、「急いで来た。怖いね」「警報が出たことはほとんどないので、だいぶびっくりした」と話していました。

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南海トラフ巨大地震では、高さ1メートルの津波が最短3分で到達すると想定されている尾鷲市で、備えは十分といえるのでしょうか。

市は国や県の補助も得て、津波の浸水想定域となっている市内の2カ所に避難タワーの設置を計画。2026年度には、住宅密集地にある銀行の跡地に高さ15メートル、最大272人を収容できるタワーが完成します。

しかし、7月の津波で見えた課題もあります。

住民ら:
「様子を見ながら避難する人ばかりだった。避難所には1人も来ていませんでした」

「旦那は逃げずに家を守った、私だけ逃げた。(旦那は)大したことないだろうという感じで」

「逃げなかった人もいましたね。大丈夫だろうって」

市によると、7月30日に避難所などに逃げた人は、人口およそ1万5千人に対し275人にとどまりました。

尾鷲市防災危機管理課の担当者:
「(先月は)海外の地震による津波ということもあったと思うんですけど、避難されなかった方も一定数みえた。そういった方々に対して防災の啓発、意識向上をさらに実施していけたらなと思っています」

避難タワーなどのハードの整備とともに、住民の意識向上も待ったなし。尾鷲市では、住民とともに避難経路を確認し危険な場所などを盛り込んだ「防災マップ」の作成などに取り組んでいます。

9月7日投開票の知事選でも、災害対策は重要な争点となっています。

一見勝之さん(62)は、避難所の機能の強化を訴え、市や町へ補助金を出し関連死ゼロに向けた取り組みを進めたいとしています。

伊藤昌志さん(55)は、防潮堤などの老朽化対策を進め、地形や人口に即した避難計画を見直したいと訴えています。

石川剛さん(51)は、木造建築物の耐震補強工事の促進を最優先に訴え、道路や水道管などの点検を実施するとしています。

東海テレビ
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