全国B型肝炎訴訟・熊本弁護団の預り金9300万円余りを横領した罪に問われた、元弁護団長の男の裁判で、熊本地裁は「常習的で悪質な犯行。弁護士による業務上横領事案の中でも高額」として、男に懲役6年の判決を言い渡した。

約9300万円を横領した元弁護団長

判決を受けたのは、全国B型肝炎訴訟・熊本弁護団の元弁護団長で、現在、無職の内川寛被告(63)。

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判決などによると、内川被告は2018年から約5年間に渡り、団長として会計管理をしていた弁護団の預金口座から、170回にわたって現金を引き出し、計9300万円余りを自分の口座に入金するなどして、業務上横領の罪に問われていた。

内川被告は、これまでの裁判で起訴内容を認めていて、「住宅ローンや事務所の経費を支払うためだった。将来の報酬の前借りのつもりだった。返せるときに返そうと思っていた」と述べていた。

8月28日の判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は「監査体制が十分に整えられていない上、原告が今後も現れることから、相当期間にわたって預り金を精算することもなく、その間に補填すれば横領が発覚しないかもしれないなどと考えた」と指摘。

その上で、「常習的で悪質な犯行。弁護士による業務上横領事案の中でも高額で、具体的な弁償の見込みもない」として、懲役6年の判決を言い渡した。内川被告は証言台の前で、自身に言い渡される判決を淡々と聞いている様子だった。

「事件の全体像明らかにならず残念」

内川被告を刑事告訴し、29日の判決を傍聴していた、全国B型肝炎訴訟・熊本弁護団の現在の村山雅則団長は「〈刑が重くなってほしい、軽くなってほしい〉という趣旨で告訴したわけではなく、〈横領事件の全体像を明らかにしてほしい、明らかになるべきだ〉という思いで告訴をした。そこが、いまひとつ明らかにならなかったことは残念」と述べた。

また、問題発覚後に新体制となった弁護団については、「内部統制を強化して取り組んでいる」とした。

(テレビ熊本)

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