2012年、岡山市の県立高校で野球部のマネージャーの男子生徒が監督の教諭から叱責を受け自殺した問題で岡山県教育委員会が制作した「不適切な指導」に関する教育動画が完成し、8月27日に公開されました。

動画はすでに県立学校の生徒や教員が視聴していますが、男子生徒の遺族は動画の内容が生徒側に責任転嫁しているとして憤りを感じています。

(「動画)
「もし教職員の体罰・不適切な指導・ハラスメントにみなさん自身や周りの人が直面した時・・・どのような行動をしたらいいか学んでいきましょう」

生徒向けに制作された「導入」の動画です。教職員の不適切な指導やハラスメントに気付いた時にどのように行動すればいいのか事例を紹介しています。岡山県教委が作成した動画は県内で実際にあった不適切な指導やハラスメントを紹介するものなど14種類です。

8月27日の岡山県議会文教委員会で公開され、県教委のホームページを通じて誰でも視聴できるようになりました。

この問題は2012年7月、岡山市の県立岡山操山高校の野球部マネージャーだった2年生の男子生徒が自殺したものです。その9年後に、第三者委員会によって監督の激しい叱責が原因との検証結果が報告され、県教委による再発防止策の検討が始まりました。

再発防止策が完成したのはさらに4年後の2025年1月、教育動画は再発防止策の柱の1つとされています。

(まとめ編のVTR)
・SOS援助希求行動
「不適切な指導、ハラスメントをなくしていくためにみなさんも家族や友だちと話してみませんか」

動画を視聴した男子生徒の父親はOHKの取材に対し、「生徒自身が不適切な指導を受けていると気付くことの重要性の説明がなく、再発防止策としては受け入れられない」。「もし、SOSを出すことなく生徒が自殺した場合、生徒側へ責任を押し付けられかねない」と問題点を指摘しています。

(岡山県教育委員会 教育政策課 小林伸明課長)
「(不適切な指導は)当然教員側に問題があり、生徒側へ責任転嫁するつもりは毛頭ない。遺族にも丁寧に説明していきたい。」

動画は昨年度末に完成していてすでに県立の中学・高校など67校の生徒や教員が視聴しているということです。県教委は、2026年8月までに再発防止策の検証結果をまとめることにしていて、必要に応じて教育動画の再編集を検討するということです。

岡山放送
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