参院選の投票の見返りに現金を渡す約束をしていたとして、パチンコ店の運営会社社長らが逮捕されました。
候補者だった人物が27日、取材に応じました。

関東や中国地方を中心に全国31店舗を展開するパチンコチェーン「デルパラ」の運営会社社長らが逮捕された事件。

容疑は、7月の参院選でパチンコ業界の人物を当選させるために買収を企てたというものでした。

その参院選の候補者は、自民党公認の阿部恭久氏です。

参院選に立候補していた阿部恭久氏:
私は細かな(選挙)戦略とか戦術とか、そういったことは何も担当してないので分かりません。

パチンコ業界と選挙とを結ぶ背景には、何があるのでしょうか。

26日夜、公職選挙法違反の疑いで警視庁などに逮捕されたのは、パチンコ店運営会社「デルパラ」の社長、山本昌範こと李昌範容疑者(50)と幹部ら合わせて6人です。

李容疑者らはデルパラの店員ら60人に対し、7月の参院選で自民党から比例代表で立候補した阿部恭久氏に投票するよう要請。

投票の見返りとして、現金3000円から4000円を支払う約束をした疑いが持たれています。

その具体的な手口も明らかに。

期日前投票で阿部氏の名前を書いた投票用紙の写真を送った店員には、残業代名目で報酬を支払うと説明。
さらに、全国の店舗から本社に投票状況の途中経過を報告させていたといいます。

李容疑者らがそこまでして投票を促した候補者が、自民党公認の阿部恭久氏。

実は、この阿部氏は過去に大手パチンコメーカーの社長を務め、さらに現在は、全国のパチンコホールで組織する業界団体の理事長を務めています。

そんな阿部氏は27日夕方、報道陣の取材に対応。
犯行への関与を改めて否定しました。

参院選に出馬した阿部恭久氏:
電話で1回、山本社長(李容疑者)とは「今回出るのでよろしくお願いします」と、電話ではお願いしてるけど、それ以上のことは言ってない。今回の話を聞いて、え?なんで?どうしたの?と。

ある捜査関係者は今回の事件の背景として、パチンコの遊技人口やホールの売り上げが減少している点を挙げています。

ギャンブル依存症が社会問題化しつつあった2018年、パチンコの出玉の上限をそれまでの3分の2程度に抑える改正風営法が施行。

それに連動するかのように、パチンコホールの数や業界全体の売上高は右肩下がりになっていました。

パチンコ業界の客離れに歯止めが利かない中で、業界の声を届ける人を1人でも国会に送り込みたかった可能性についても、この捜査関係者は指摘しています。

警視庁などは、李容疑者らが250人以上の従業員らに投票の報酬の約束をしていたとみて、さらなる調べを進めています。

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