神戸市の会社員・片山恵さん(24)が、自宅マンションで胸などをナイフで複数回刺され殺害された事件。

『サン!シャイン』が入手した付近の防犯カメラの映像から、逮捕された谷本将志容疑者(35)が、事件の数日前から被害者を付け狙うような行動をしていたことが分かってきました。

8月18日事件発生の2日前、片山さんが勤務する会社の入り口近くに姿を現した谷本容疑者とみられる男。翌日の事件前日にも、朝から似た格好の人物が、会社付近をうろつく姿が映っています。

事件当日には、ビルから出てきた片山さんとみられる女性の数メートル後ろを歩いてついて行く姿も捉えられていました。

なぜすぐに犯行には及ばず、このような行動を取っていたのか。犯罪心理学に詳しい新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は…。

新潟青陵大学大学院 碓井真史教授:
何か興奮しているような、そんな状態ではなく、むしろ落ち着いて一歩一歩進めていくそんなふうに感じました。以前から思い描いていたことを、容疑者なりの計算に基づき、実行に移していった。そんな感じがします。
3年前にも20代女性への傷害罪などで逮捕・起訴
被害者の片山さんとの関係について、「全く知らない人」と供述している谷本容疑者。
実は、2022年にも女性の首を絞めた傷害などの罪で起訴されていました。
犯行現場は今回と同じ神戸市中央区で、被害者は20代の女性。場所も被害者の住むマンション内でした。このときは、谷本容疑者が路上で一方的に好意を抱いた女性に対し、つきまとうなどストーカー行為を繰り返していたといいます。

裁判では、「思考のゆがみは顕著である。再犯が強く危惧されるといわざるを得ない」と指摘され、判決は懲役2年6カ月、執行猶予5年の有罪判決。今回の事件は、その執行猶予中の犯行でした。
若狭弁護士「“執行猶予5年”は裁判官が迷う時にやる」
執行猶予中にもかかわらず、起こってしまった事件。裁判で「再犯が強く危惧される」と指摘されながらも、なぜ5年の執行猶予つきの判決となったのでしょうか。

若狭勝弁護士:
私は非常にそれが問題だと思います。執行猶予というのは、普通は3年が多いんです。5年というのは、裁判官が実刑にするか執行猶予にするか迷う時に、「執行猶予期間5年」という最大の期間。言い渡せる期間の5年というのはMAXなんです。迷う時にそうやる。
迷うのであれば、単なる執行猶予じゃなくて「保護観察付執行猶予」といって、国がある程度、その後を監視できる、指導できるような体制、システムを付けるのが、保護観察と言うんですけど、「保護観察付執行猶予」を言い渡すべきだったんじゃないかと私は思います。

若狭勝弁護士:
保護観察付でない単なる執行猶予にしているのは、裁判官はこれまでの前例などから、こういう事件は執行猶予だと頭から結論を持って判決を下している可能性があると思います。
ただ、「再犯が強く危惧される」と言っているのであれば、当然保護観察をつけるべきで、少なくとも、何もない執行猶予だと、“野放し”といったら弊害があるかもしれませんが、保護観察付執行猶予をつければそれなりの抑止力が期待できるので…。