「火山防災の日」の26日に合わせまして、内閣府が富士山噴火による被害を想定したCG映像を初めて公開したんですが、東京、千葉まで影響が出そうなんです。
ここからはフジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者と見ていきます。
富士山の噴火警戒レベルですが、レベル5まである中の現在はレベル1の段階なんですけれども、もしも今後、富士山が噴火したらどのようなことが起こるのか内閣府の想定CGで見ていきます。
まずは、大きな音とともに富士山が噴火しますと、火口付近には大きな噴石が無数に吹き飛ばされていくとみられています。
宮司愛海キャスター:
噴石の中には数メートルに及ぶものもあるということですが危険度はどうでしょうか?
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
住宅の屋根とか建物の屋根を打ち破るような、かなり強い威力を誇っています。命の危険とか、けがをする危険は必ずありますね。
続いて見ていきます。溶岩流です。
マグマが火口から噴き出して高温のまま地表を流れ落ちる現象です。
スピードはあまり速くないんですが、通過した場所を焼失させ埋没させていきます。
そして続いて、火砕流を見ていきます。
火砕流は噴煙や溶岩の塊が崩れ落ちていく現象です。
宮司愛海キャスター:
この火砕流の特徴はどうでしょうか?
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
この火砕流なんですが、時速100kmを超えてくるスピードで崩れ落ちることも考えられます。その温度は数百度に達するといわれています。ですから、通過した場所は焼き尽くされてしまうというそういう現象です。
過去には巻き込まれて亡くなった方々もたくさんいましたが、さらに冬ですね。
雪の季節だった場合、この時期に噴火した場合は、融雪型火山泥流による被害も想定されます。
これは、火砕流の熱で斜面の雪が解けると大量の水になって、土砂や岩石を巻き込みながら高速で遠くまで落ちる現象です。
さらに、降灰。
火山灰ですけれども、噴火に伴って火山灰が上空の風で遠方まで飛ばされて流されて降り積もることが考えられます。
遠くにいたとしても、直径数cm程度の小さな噴石が風に流されて降ってくる場合もあるということです。
青井実キャスター:
ここまで聞いてとても怖いなと思ったんですが、富士山噴火って起きる可能性はあるんですか?
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
気象庁の現在の観測では、今のところ異常は観測されていないというのが現状です。富士山、過去5600年で180回ほどの噴火が確認されています。ただ、1707年に起きた宝永噴火という噴火があります。それを最後に300年、噴火は確認されていないんですね。東京大学の藤井敏嗣名誉教授はこの静かな状態について「少し異常な状態」とした上で、「次の噴火はいつ起こっても不思議がない」と表現しています。富士山噴火の避難の基本計画というものがありまして、この策定に携わった静岡大学の小山真人名誉教授は、マグマとの活動の相関が指摘されている低周波地震という地震の状況を分析した結果、「マグマが生きているということは間違いなく言える」と話しているんですね。噴火の予兆があるというわけではなくて、マグマ自体は今もそこにあるんだよという説明です。
青井実キャスター:
次の噴火はいつ起こっても不思議じゃないという状況は怖いですね。
SPキャスター・山口真由氏:
300年噴火しなかったからといって、これから噴火する可能性がないわけじゃないということですね。
青井実キャスター:
どのくらいの範囲に被害が及ぶかですよね。
降灰の影響が及ぶ範囲について、内閣府のCGで見ていきます。
富士山から25km、60km、100km離れた3つの地点について見ていきたいと思いますが、まず富士山から25km離れた神奈川県の丹沢湖付近の場合、直径2mmを超える火山れきが降るとみられています。
より富士山に近い場所では、直径数cmの小さな石が降ることも考えられています。
そして、60kmほど離れた相模原市付近はどうなるか。
直径2mm以下の目の粗い火山灰ということで、砂浜の砂が降ってくるようなイメージだということです。
噴火後、まもなく火山灰が積もり始めて2日後には20cmの厚さに達するということです。
最後、富士山から200kmほど離れた東京都内。
新宿の場合、直径0.5mm以下の細かな火山灰が降る可能性があるということで、東京にまで影響が及ぶとみられているんです。
青井実キャスター:
かなり視界も悪くなるんですね。
このように新宿にも降るかもしれない火山灰。
交通障害や停電などをもたらす恐れがあります。
富士山の噴火が起きた場合、火山灰がどこまで影響を及ぼすのかを詳しく見ていきます。
25kmほど離れた場所では、2日後には火山灰が60cmから70cmの厚みになると考えられています。
さらに60km離れた相模原市付近は、2日後には20cmの厚さに達するということです。
宮司愛海キャスター:
100km離れた都内、例えば新宿の影響はどう考えられているんでしょうか。
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
新宿でも噴火後、まもなく火山灰が積もり始めまして、2日後には5cm以上の厚さになるとされています。これが雨が降ると特によくなくて、泥のようになってぬかるむところもあるんですね。当然、新宿だけではなくて渋谷、池袋といった代表的な街他、官庁街の霞が関も含めて多くの地域が同様の現象に見舞われます。
都内にも降灰する可能性があるということですけれども、我々の生活にどんな影響が出ていくのか。
まず、建物への影響を見ていきましょう。
屋根に30cm以上火山灰が積もると、雨が降った時に重みで家屋が倒壊する危険性があります。
また、体育館のように広い空間のある建物でも、積載荷重を超える火山が積もると損壊する恐れがあるということです。
そして建物だけでなく、道路にも影響が出ます。
雨が降っていない時は10cm以上の降灰で、二輪駆動の車が通行不能になります。
先ほど百武さんが言ったように雨が降った場合は、ぬかるんでいくということなので3cm以上の降灰で通行不能ということになります。
そして道路が通行不能になるということは、物流など物資にも影響が出るということです。
他にも鉄道、電力、水道、通信などへの影響も考えられます。
青井実キャスター:
富士山に近い場所はもちろん分かるんですけれども、都内でもこれらのインフラが使えなくなる可能性があるということですか?
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
そうですね。特に鉄道への影響について、わずかな降灰でも電車とレールの間で通電不良というものが起きまして、踏切に誤作動が出たりとか運行システム、列車の位置が把握できなくなっちゃう。それによって、鉄道の運行ができなくなってしまうんですね。
宮司愛海キャスター:
電力、水道、生活インフラへの影響はどうでしょうか。
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
電力への影響は3mm以上の降灰、雨が降ってしまいますと、電柱のがいしという部分の器具の能力が低下して、停電が発生する可能性があり、あとは断水ですね。通信にも当然、影響が出ます。
青井実キャスター:
今は暑いですけれども例えば、夏に噴火して停電が起きたらかなり大変なことにもなるわけですよね。
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
本当にそうで今、暑い日々が続きますが早急な協議が求められるんですよね。火山灰を避けるために、例えば家の窓を閉めていて停電によりエアコンが稼働しない。そういう状況だったら、それが夏だったら。これを考えると高齢者の方とかお子さんを中心に被害が。
青井実キャスター:
そういったことも考えないといけないと。我々はどう備えていくかですよね。
SPキャスター・山口真由氏:
首都圏の場合、自宅退避が軸になるので自分たちの家族がそれができるか、透析患者さんがいれば医療が受けられる地域に移動しなきゃいけないけど移動手段はどうするのか。リアルに考えることが求められますね。
宮司愛海キャスター:
そして国や自治体ですが、対策はどれくらい進んでいるんでしょうか?
フジテレビ報道局・災害対策チームの百武弘一朗記者:
先ほど火砕流の話がありましたが、富士山のふもとの市や町では避難訓練、あとは説明会が繰り返し開かれているんですね。遠くに身を移しましょうという「広域避難計画」もすでに策定されています。ただ内閣府は今後、広域降灰、新宿まで届くような降灰について、関係自治体とか事業者と具体的な対策を検討する方針なんですけれども、まだその協議体はない。まだスタートラインにいるという状況なので、具体的な対策の協議、暑さ対策も含めて求められます。