南アフリカ政府は27日、ロシアでの就労をうたう広告動画について「若者をだまして軍需工場で働かせる恐れがある」として警鐘を鳴らしました。
南アフリカメディアなどによりますと、問題となっているのはロシア・アラブガ経済特区で働くことを呼びかける広告で、複数のインフルエンサーを通じて動画が拡散しています。
広告は18歳から22歳の若い女性を対象に、建設業や接客などのホスピタリティ業務ができると紹介していますが、南アフリカ政府は虚偽の求人広告とみていて、「奴隷のような条件下で違法活動に引き込もうとしている」と警告しています。
現地メディアは、ウクライナ侵攻が長期化する中で、こうした若者がだまされてアラブガの軍用ドローン工場で強制労働させられる恐れがあると報じています。
アメリカのシンクタンクISIS(科学国際安全保障研究所)は、7月に撮影された衛星画像からアラブガで新しい住宅や作業場の建設が進んでいると指摘した上で、軍用ドローンの大量生産が行われていると分析しています。
また、アラブガではドローンの組み立て作業は「男性よりも女性の方が信頼できる」とみなされているとする報告をまとめています。
一連の疑惑について、在南アフリカのロシア大使館は「根拠のない主張であり、外国人が強制労働させられているとの情報はない」と反論しました。
この問題が注目されて以降、広告の拡散に関与したインフルエンサーのSNSアカウントは次々と削除されています。