猛暑が続く異常気象は酪農にも打撃を与えている。乳牛の“夏バテ”は例年より早く、食欲が落ち餌を食べないという。このため牛乳の質にも影響し生産量も減少。酪農家は扇風機を増設するなど対策に頭を抱えている。

“夏バテ”で食欲なくなる牛たち

全国的に異常な暑さが続く中、8月中旬、佐賀・みやき町の大富牧場を訪ねてみた。

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牛舎の中には、横になり大きく体を揺らしながら呼吸している乳牛が…。元気にはみえない。“夏バテ”しているとみられる牛たちだ。

夏バテしているとみられる牛
夏バテしているとみられる牛

年間約650トンの牛乳を出荷している大富牧場では90頭の牛を飼育している。暑い時期は牛の食欲が落ち餌を食べなくなるという。

例年より早く6月から搾乳量が減少

異常な暑さは酪農にも打撃を与えている。JAさがによると、佐賀県内25の酪農家では今年(2025年)、例年より早い6月ごろから搾乳の量が減り始めた。

県内で1日にとれる牛乳の量は、6月と比べて8月は約15%減少している。

大富牧場 大富力さん:
牛乳の成分も下がるし量も少なくなる。自分の体を維持するためにも使うので牛乳も1割から2割は減る

出荷する牛乳の量が減っても買い取りのキロ単価は変わらない。このため経営に大きく影響するのだ。

扇風機を増設 対策に頭抱える酪農家

牛の飼育は20度前後が適温とされる。このため大富牧場では扇風機を増やし、少しでも牛舎内の温度を下げるようにしている。

大富牧場 大富力さん:
扇風機に角度をつけて外気を中に入れて中の温かい空気を外に出すように、そして新鮮な空気を取り込めるように工夫している

このほか、餌やりの時間を比較的涼しい朝と夜に変えるなど、牛のストレスを軽減するよう工夫を重ねている。

大富牧場 大富力さん:
霧状のものを飛ばして気化熱で牛舎の温度を下げる試みをされているところが多いので、それも考えている

暑さによる影響は例年11月ごろに回復するそうだが、猛暑が続く異常気象は酪農家にとって深刻な問題だ。

(サガテレビ)

サガテレビ
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