2008年に札幌市南区の小金湯で発見されたクジラの化石が、約900万年前のもので、新属新種のセミクジラの一種であることが分かりました。世界初の発見です。

 発見されたのは、2008年秋に札幌市南区を流れる豊平川の川岸で、紅葉を見に訪れていた一般市民の男性が、化石の一部を偶然見つけたことがきっかけでした。男性が札幌市に連絡し、その後、札幌市博物館活動センターが調査と研究を進めてきました。

 17年にわたる調査の結果、この化石はこれまでに発見されたことのない新属新種のセミクジラであることが、海外の学術誌に発表されました。学名はメガバラエナ・サッポロエンシス(Megabalaena sapporoensis)で、和名はサッポロクジラと名付けられました。

 化石は肩甲骨や背骨などを含めた全身の約7割が良好な状態で保存されていて、体長は約13メートルと推定されています。この化石が示す年代は、セミクジラ科の化石がほとんど見つかっていない約1500万年前から600万年前の期間にあたり、セミクジラの進化の過程を解明するうえで重要な手がかりになるということです。

 現在、化石の一部は札幌市豊平区にある札幌市博物館活動センターで常設展示されているほか、8月30日までは企画展「世界一のセミクジラ化石展」で頭骨のレプリカなども公開されています。また、9月12日からは北海道大学総合博物館でも関連展示が行われる予定です。

 札幌市では、今後も研究成果の発信を進めるとともに、市民に化石の魅力や自然科学への関心を深めてもらいたいとしています。

北海道文化放送
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