特集は、好評の移動販売車です。新型コロナの影響で苦境が続く飲食店が協力し茅野市でさまざまな弁当を乗せ「おかずワゴン」を走らせています。手軽に店の味が楽しめるということで早くも人気です。
(移動販売車のアナウンス)
「プロの料理をお近くまでお届け。そう、おかずワゴン」
午後4時過ぎ。茅野市泉野の駐車場にトラックが到着。にぎやかな音色に誘われ住民が集まってきました。
住民:
「こないだも来たの。作らなくていいから主婦にはありがたい」
こちらは今月9日から営業している「ちのおかずワゴン」。ハンバーグやあなごの一本揚げ、麻婆豆腐も…。和・洋・中、30種類もの弁当を積んでいます。
客:
「きょうはハンバーグを1つ」
なぜ、こうもメニューが豊富なのかというと「おかずワゴン」は茅野駅周辺の飲食店8店舗が参加しているからです。新型コロナの影響で外食が減る中、プロの味を家庭にとスタート。用意した100食ほどが完売する日もあるなど、早くも人気です。
客:
「(飲食店まで)行かなくていいから楽だしね」
「見た目も華やかですし、食べたおいしさも一味違うかなと。子どもと外に遊びに行くとご飯作る時間も短くなるので助かる」
ちのおかずワゴン・山本大悟店長:
「各ポイントで待ったり、来てくれる方を考えると、ありがたい気持ちがこみ上げてくる」
おかずワゴンの店長を務める山本さん。もともとはライブハウスの店長です。
感染リスクの高さを指摘されたライブハウス。4月から休業が続いていて再開の目途は立っていません。
ちのおかずワゴン・山本大悟店長:
「ステージの演者を見ていただくライブ感を売りにしている場所なので、提供できないのが悲しい」
同じ系列の飲食店も客足が思うように伸びず、苦しい状況が続いていました。そこで山本さんが所属する会社が主体となり、地域に出向く移動販売を企画。駅周辺の店に参加を呼びかけました。
ちのおかずワゴン・山本大悟店長:
「地域の方々のために何かできないかとまず考えて、地域の人がお店に直接行くよりもこちらから料理を届けたほうがいいなと」
こちらは馬肉料理専門店「さくらさく」。おかずワゴンに参加する店の一つです。
桜肉専門店さくらさく・大久保孝料理長:
「いろんな店舗が入っているので、お客さんもチョイスができると思う。あの店には負けたくないという競争心もあり、それはそれで良かった」
店は4月下旬から1カ月余り、営業を自粛。その後テイクアウトなどにも取り組みましたが、売り上げは2割ほど減少しています。人気の馬カツなどの弁当で巻き返しを図りたいところです。
桜肉専門店さくらさく・大久保孝料理長:
「コロナで外に出れないだけで外食はしたいはず。そういったお助けができればいいかなと」
販売は平日の5日間。作りたての弁当を販売するため、毎日、各店舗を回って弁当を載せています。冷蔵庫付きの車両は県の補助金を活用して購入しました。
ちのおかずワゴン・山本大悟店長:
「認知がまだあんまりされていない分、行く所に何人いるか全然分からないので、毎日がドキドキです」
曜日ごとに回る地区を変えていて、24日は泉野・豊平地区へ。夕食の時間に合わせて午後3時から3時間、5カ所を回りました。山本さんの心配をよそに「プロの味を夕食に」と24日も多くの住民が足を運びました。
客:
「すごくおいしい。ハンバーグを食べたいがいつも売り切れなの。残ったのを買うのも楽しい。ここは田舎だからお年寄りにはいいと思う」
こちらの客は既に3回、おかずワゴンを利用しています。
客:
「店の味を家で食べられるのが魅力」
買ったのは、グリルチキンとビーフン。自宅に戻ると早速、長男を含めて3人で食卓を囲みました。
「いただきます」
長女:
「おいしい。(Qどれくらい)これくらい」
母:
「外食ができないのでたまには外の味が食べたくなる。(飲食店が)なくなってもらっては困るが行けないので、こういう形で応援できれば1番いいのかなと」
新型コロナの影響が続く中、改めて注目されている移動販売。店と客双方にメリットがあり、山本さんたちは地域が元気を取り戻すきっかけになればと話しています。
ちのおかずワゴン・山本大悟店長:
「お客さまのアドバイスをいただきながら店の味を提供したいし、おかずワゴン自体もブラッシュアップして成長したい。茅野地域の皆さまに利用していただいて、手助けになる存在になれればと」