岐阜県郡上八幡は、美しい水路や天然水が息づく「水の町」。夏には「郡上おどり」が町を彩り、鮎や郷土料理「鶏ちゃん」など地元グルメも魅力です。歴史と風情が詰まった夏こそ訪れたい町です。

「新橋亭」の「鶏ちゃん定食(自家製郡上味噌味)」
「新橋亭」の「鶏ちゃん定食(自家製郡上味噌味)」
この記事の画像(15枚)

■美しい水路や天然水が息づく「水の町」

名古屋から車で約1時間。長良川や吉田川が流れる郡上八幡は、日本屈指の「水の町」として知られています。城下町に張り巡らされた水路は、今から370年ほど前、江戸時代に整備されました。

ニュースONE
ニュースONE

郡上八幡観光協会の担当者:
「江戸時代に大きな火災があって、郡上八幡城主が“火災に強い町”をつくろうと水路を張り巡らせました」

家の前に置かれたバケツもその名残で、「誰でも、いつでも使えるように見える場所に置いてある」といいます。

ニュースONE
ニュースONE

1652年の大火を機に整備された水路は、1919年にも再び大きな火災が起きたため、防火目的で再整備されました。こうした歴史を経て、生活の中心に水路がある暮らしになったといいます。

「水の町」といわれる理由は「水路」だけではありません。町中には3段の水槽「水舟」があり、山水や湧き水を家庭に引き込んでいます。

ニュースONE
ニュースONE

1段目は飲み水や料理に利用、2段目は食材の保存やアク抜き、3段目は野菜の土落としや食器洗いに使うのが昔からの習わしです。

ニュースONE
ニュースONE

この水を活かしたグルメもあります。2023年春には酒蔵の跡地を利用した「平野商店酒蔵跡」がオープン。古家具を扱う雑貨店や、和紙と刃物の専門店など、9店舗が並びます。

ニュースONE
ニュースONE

その中にあるカフェ「かわべのコーヒー酒場/スローコーヒー」では、郡上の水で淹れる「水出しアイスコーヒー」(650円)が人気です。「水出しコーヒーの体験キット」(2500円)も。マップを頼りに町で水を汲み、自ら淹れる水出しコーヒーが楽しめます。

ニュースONE
ニュースONE

さらに「中庄菓子店」では、夏限定で天然水を使ったゼリー「清流のしずく」(1個190円)を販売。

ニュースONE
ニュースONE

風船に爪楊枝を刺すと、プルンプルンのゼリーが現れ、蜜をかけていただきます。

■夏の風物詩は「郡上おどり」

郡上八幡の夏と言えば、420年以上の歴史を持つ「郡上おどり」です。7月中旬から9月の第1土曜日まで、30数夜にわたり行われ、地元の人々にとってはなくてはならない存在です。

ニュースONE
ニュースONE

地元の人:
「八幡の者にとっては必要なもの。昔から郡上おどりで成り立っている町」

別の地元の人:
「夏がくるのが楽しくてお店もやっている」

観光客にも人気で、毎年30万人ほどが訪れます。

全10曲を一心不乱に踊り続ける郡上おどりの魅力に触れられるのが「郡上八幡博覧館」(入館料 大人540円 小中学生320円)。大正9年に建てられた旧税務署を利用した施設で、地元の文化や歴史が学べます。

ニュースONE
ニュースONE

「郡上おどり」の起源は、約420年前・江戸時代初期と言われています。中でも、お盆の8月13日からの4日間、明け方4時まで踊り続ける「徹夜おどり」は、先祖の供養だけでなく、階級や身分の異なる人たちが「4日間だけは無礼講で踊り明かす」風習として始まったと言われています。

ニュースONE
ニュースONE

1949年頃に「郡上おどり保存会」が、周辺の村に伝わっていた踊りを現在の形にまとめたといいます。代表曲「春駒」を含む全10曲は、1996年に「国の重要無形民俗文化財」に指定。2022年には「ユネスコの無形文化遺産」にも登録され、世界中からも注目を集めるようになりました。さらに2025年6月には、地元の中学生たちが「大阪・関西万博」でおどりを披露しました。

■自家製味噌で作る郷土料理「鶏ちゃん」

郡上には、様々な郷土料理があります。

ニュースONE
ニュースONE

昭和12年創業の「新橋亭」では、飛騨地方の料理「自家製朴葉味噌定食」(1500円)や、郡上の夏には欠かせない「郡上天然鮎定食」(3600円~)などが楽しめます。

ニュースONE
ニュースONE

中でも郡上グルメの代表格といえば、奥美濃の郷土料理「鶏ちゃん定食(自家製郡上味噌味)」(1500円)です。

店主:
「湯気出てきたらかき混ぜて食べてください。3年寝かせた自家製のオリジナルの味噌で作っております」

ニンニクや調味料を加えた自家製味噌ダレを鶏肉に絡め、野菜と一緒に炒めた「鶏ちゃん」。郡上では家庭でもフライパンやホットプレートで楽しむといいます。

ニュースONE
ニュースONE

鶏ちゃんが生まれたきっかけは何だったのでしょうか。

店主:
「ニワトリは1年たつと卵を産まなくなって、廃棄される鶏が出てくるので、もったいないと」

山間の集落では昔から、各家庭で飼っていたニワトリが1年ほどで卵を産まなくなると、肉として食べていました。加えて、米作りの裏作で収穫した大豆や大麦を使った味噌づくりも盛んだったことから、昭和30年代後半には、鶏肉と自家製味噌をキャベツなどの野菜と一緒に炒める料理が誕生します。これが「鶏ちゃん」の始まりとされ、その後は家庭の食卓だけでなく地元の飲食店にも広まり、やがて土産品としても人気を集めるようになりました。

東海テレビ
東海テレビ

岐阜・愛知・三重の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。