80年前の広島で、原子爆弾投下直後に降った放射線を含む「黒い雨」を巡り、岡山市の女性が、被爆者健康手帳の交付を岡山県に求めた裁判です。8月19日、第2回口頭弁論が行われ、広島で同様の裁判を闘う約40人の原告団と協力しながら全面的に争う姿勢を示しました。
訴えを起こしているのは、岡山市に住む84歳の女性です。
訴状などによりますと、女性は4歳の時に広島県の旧津田町にあった自宅近くで「黒い雨」を浴びたとしています。しかし岡山県は2024年、「黒い雨が降ったことが確認できない」と被爆者健康手帳の交付申請を却下していて、女性はこの判断の取り消しを求めています。
女性のかつての自宅は、2021年に広島高裁が判断した「黒い雨」が降ったと認められる範囲からはわずかに外れていました。そのため「黒い雨」が降ったという女性の証言の信用性が争点の1つとなっています。
岡山地裁で開かれた第2回口頭弁論で、女性側は「広島地裁には、旧津田町の40人を超える人が黒い雨に遭った旨を述べ、同じような訴訟を提起している」と主張しました。
裁判の後、会見を開いた女性側。7月、広島にあったかつての自宅近くを訪ね、80年前の記憶を思い起こしたことを明らかにしました。
(原告の女性)
「家に帰ろうとした時に「黒い雨」が降ってきた。(母が)帽子をかぶせてくれて、母は手ぬぐいを持って一目散に走って帰った」
(原告の則武透弁護士)
「本人が言っていることは非常に詳細で信ぴょう性がある。同じ旧津田町の人たちが「黒い雨」に遭ったと証言しているので、信用性があるか、判断してほしい」
次回の裁判は11月25日に行われる予定です。