連休明けの日経平均株価が、2024年7月につけた史上最高値を更新しました。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長と見ていきます。

青井実キャスター:
史上最高値ということでお盆期間に出たんですが、これはどう説明しますか?

智田裕一解説副委員長:
お盆は市場に参加する人が少ないので、ちょっとした取引で株価全体の値動きが大きくなるという傾向があるんですね。

青井実キャスター:
なぜ史上最高値を記録したのか、3つの要因を智田さんに挙げていただきました。「日米の関税修正」、「米中の関税が延期された」、そして「円安が進行している」、この3つだということですが、これがどう影響したということですか?

智田裕一解説副委員長:
日米と米中、関税を巡る不透明さが和らいで、安心感が広がったと。さらに円安が進んだことで、輸出企業の業績拡大への期待感が強まったということになります。

青井実キャスター:
これまでトランプ関税、トランプ大統領の発言で、見ても分かるように大幅下落しました。就任して4月に下落したということで、ここからグイっと上がったんですが、この辺りの見立ては?

智田裕一解説副委員長:
このところ、市場ではFOMO相場と呼ばれる環境が強まったとされていたんですね。FOMOというのは「Fear Of Missing Out」、“取り残されることへの恐怖”という略語なんですね。

青井実キャスター:
投資家が取り残される?

智田裕一解説副委員長:
投資家が相場の上昇に乗り遅れまいとする心理状態になって、今買わないでどうするの?と、買いが続く、これがFOMO相場です。

宮司愛海キャスター:
私たちの生活にどういうふうにつながってくるかが気になるんですが、例えばどうなりますか?

智田裕一解説副委員長:
株価が上昇すると、企業が市場を通じてお金を集めやすくなります。そうすると事業を広げて成長しやすくなる。そうすると、景気が良くなって従業員の賃金アップにつながる可能性があります。ただ、企業が収益を賃上げに回す環境が確実に実現していかないと、株価は上がっても暮らしは上向かないということです。

SPキャスター 山口真由氏:
トランプショックを経ても世界的に株高は続いていて、アメリカでもS&Pは最高値を更新しています。この背後に個人投資家の世代交代があるのではないかと。要するに、金融危機を知らない若い世代が強気で投資を続けてて、ある種の過剰評価、ドットコムバブルと同じにおいがするという人たちもいます。

青井実キャスター:
そういう意味で、心配な要素はどのあたりでしょうか?

智田裕一解説副委員長:
今言われた、アメリカ経済の先行きがまずありますよね。トランプ関税によってアメリカの物価高などが今後どうなっていくか、これが不透明な部分もあって、世界経済を引っ張るアメリカの景気が落ち込んでいくと、せっかく上向いてきた株価が下向きになってしまう可能性があるのが1つです。

青井実キャスター
もうひとつ、政局の行方。政局不安というのも影響が?

智田裕一解説副委員長:
そうですね。自民党総裁選もにらんで石破政権の行方が不透明という状況の中で、市場関係者が気にしているのが、少数与党での政権運営が不安定になっていることなんですよね。政策を打ち出して景気を上向かせていくサイクルをうまく回していくことができなければ、株価もなかなか上がりにくいということにつながります。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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