連休明けとなった12日の日経平均株価が、2024年7月につけた史上最高値を更新した。フジテレビ・智田裕一解説副委員長とみていく。

お盆は市場参加者少なく株価の振れ幅大きい

休みの人も多いお盆の期間に市場最高値が出たが、どういうことか。

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フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
お盆は市場参加者が少ないので、ちょっとした取引で株価の振れ幅が大きくなりやすい傾向がある。

なぜ史上最高値を更新したのか。
智田解説副委員長は、3つの要因を挙げた。

「最高値更新」3つの要素
「最高値更新」3つの要素

その要因は「日米関税修正」「米中関税延期」「円安進行」だ。

これがどう影響したのか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
日米と米中、関税をめぐる不透明さが和らいで、安心感が広がった。さらに円安に進んだことで、輸出企業の業績拡大への期待感が強まったということになる。

「FOMO相場」買いが続く投資家心理も

これまでトランプ関税やトランプ大統領の発言(2025年4月相互関税発表)で大幅下落した。

2024年7月以降の日経平均株価の動き
2024年7月以降の日経平均株価の動き

そこからの右肩上がりだが、何があったのか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
このところ市場では「FOMO相場」と呼ばれる環境が強まったとされていた。FOMOというのは「Fear Of Missing Out(取り残されることへの恐怖)」の略語。投資家が相場の上昇に乗り遅れまいとする心理状態になり、いま買わないとどうするの?という買いが続く、これがFOMO相場だ。

株価は上がって暮らし上向く?

史上最高値更新が、我々の生活にどうつながるのか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
株価が上昇すれば、企業が市場を通じてお金を集めやすくなる。そうすると事業を広げて成長しやすくなり、景気がよくなって、従業員の賃金アップにつながる可能性がある。
ただ、企業が収益を賃上げに回す環境が確実に実現していかなければ、株価は上がっても暮らしは上向かないことになってしまう。

SPキャスター・山口真由さん:
トランプショックを経ても世界的に株高は続いていて、アメリカでもS&Pは最高値を更新している。この背後に個人投資家の世代交代があるのではないかと。金融危機を知らない若い世代が強気で投資を続けていて、ある種の過剰評価、「ドットコムバブル」と同じにおいがするという人たちもいる。

少数与党での政権運営不安定化を懸念

今後の心配な要素はどのあたりになるのか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
「アメリカ経済の先行き」というのがまずある。トランプ関税によりアメリカの物価高などがどうなっていくか不透明な部分もあり、世界経済を引っ張るアメリカの景気が落ち込んでいけば、せっかく上向いた株価が下向きになってしまうというのが1つある。

「日本の政局の行方」についてはどうか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
自民党総裁選もにらみ、石破政権の行方が不透明な状況の中で市場関係者が気にしているのが、少数与党での政権運営が不安定になっていくこと。政策を打ち出して景気を上向かせていくサイクルをうまく回していくことができなくなれば、株価もなかなか上がりにくくなる。
(「イット!」 8月12日放送より)