7月に実施された参議院議員選挙で、国民民主党から比例で出馬する公認が内定しながら、一転して「公認見送り」となった山尾志桜里氏が、政治ジャーナリスト・青山和弘氏のインタビューを受ける形で、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演。
公認見送り後では「初めて」という玉木代表へのメッセージを語りました。
山尾氏は国民民主党について「ポピュリズムに寄り過ぎている」と批判する一方、玉木代表について、「総理大臣を狙ってほしいか」という質問には、「十分に狙える立場にある政治家」と評価し、「極右に飲み込まれない新しい政治を自分がやるという気概を見せてほしい」と話しました。
一方、玉木代表は「公認で擁立ということに至らなかったことは、申し訳なく思っている」と謝罪しました。
■山尾氏「過去の不倫疑惑」など理由に国民民主が公認見送り「居場所なかったのでは」とも
2021年まで国民民主党に所属する衆議院議員だった山尾志桜里さんは、先月20日に実施された参議院議員選挙で、国民民主党から比例での公認の内示を得ていましたが、出馬会見の翌日に、過去の不倫疑惑などについて説明が不十分ということなどを理由に公認の見送りが決まっていました。
【玉木代表】「有権者、全国の仲間、支援者。こういった方々から十分な理解と信頼が得られないと判断をいたしました」
その後山尾さんは国民民主党に離党届を提出し、無所属で選挙戦に挑みましたが、落選していました。
【政治ジャーナリスト 青山和弘氏】「やはり国民民主党から出馬していればよかったと思うことはあるんでしょうか?」
【山尾志桜里氏】「それはゼロなんですよね。国民民主党が2020年の結党時の、いわゆる『中道政党』から、かなりポピュリズムに寄っている段階で、私自身も参加をさせていただくといいますか、そういう状況になってきたわけですけれども、もう『時すでに遅し』でそこに私の居場所はなかったのではないかなと思っています」
■「フレージング(言葉選び)をポピュリズムにふっている」
そして山尾氏は現在の国民民主党の政治姿勢を「”右派ポピュリズム”に寄り過ぎているのではないか」と指摘しました。
【山尾氏】「玉木さんに聞いてみたいんですけど、本の中で、『日本を誇示することで溜飲を下げるのはやめようと。それは日本の劣等感の裏返しになってしまうじゃないか』という考え方をおっしゃってたんだけれども、残念ながら今回の参議院選挙では、『日本人の税金は日本人の政策に』というように、かなりフレージング(言葉選び)をポピュリズムにふっているといいますか、そういうことを感じざるをえないというか、少し残念だなっていう気がします」
【青山氏】「参政党との違いは、はっきりしたほうがいいですよね?」
【山尾氏】「国民民主党の今後のことを考えても、その通りだと思いますね。参政党とは本来は違うスタンスにあるはずですし、この参院選を区切りに方向転換をしていただく、いい機会なのではないかなって思っています」
■玉木氏に「総理大臣狙ってほしい?」に「十分に狙える立場にある政治家」
そして山尾氏はかつて共に戦った玉木代表への期待についても語りました。
【青山氏】「やはり玉木さんには総理大臣のポストを狙って欲しいと思いますか?」
【山尾氏】「十分に狙える立場にある政治家だと思っています。日本は極右に飲み込まれない、新しい政治を作ることができるんだと。それをやれるのが国民民主党であり、それをやるのが自分なんだ、という気概をもっと見せて欲しい。それが今の日本にとって極めて重要な局面だと、(玉木代表なら)もっとできると伝えたいです」
■玉木代表「結果として公認に至らなかったことは申し訳なく思っている」
【青木源太キャスター】「山尾さんに取材しましたが、公認取り消しの後、直接、会っていませんね?
【国民民主党 玉木代表】「会っていませんね。そのあとご自身で出馬されたので、東京選挙区でわれわれは2人も立てて、結果、2人当選できたんですけど。どうしても候補者同士で争う立場にいたので、そのあとすぐ話をする機会がなかったというのが正直なところですね」
【青木キャスター】「今の山尾さんに対してはどういうお気持ちですか?」
【玉木代表】「結果として公認で擁立ということに至らなかったことは、申し訳なく思っているのと、あとは彼女に一番やってもらいたかったのは憲法9条の改正案をまとめたかったんですね。
2020年9月に結党した際に、その3カ月後に『憲法改正の論点整理』っていうことを彼女中心にやってもらったんですが、9条の改正案については『9条2項』を削除する案と残したまま改正する案と両論併記したまま、まだ結論を得ないまま今日(こんにち)に来ているので。
日本を取り巻く安全保障関係は、あのときに比べても相当厳しくなっていますから、9条の議論を冷静に、今まで『護憲派、改憲派』というイデオロギーで分かれるのではなくて、法律論的にも憲法論的にも冷静な議論をして、ある意味、戦後初めての挑戦にきちんと取り組みたいって。
その時には力を貸してもらいたいなと思ったんですが、メディアも含めて非常にいろんなご批判が出てしまって、最終的には『公認内定者』から『公認』に移行することが、党内の手続きでもできなかったということで、公認に最終的に至らなかったのは本当に申し訳なく思っていますし、ただ本当に優秀な方なので、いろんな形でまた、貢献いただきたいなと思っています」
■玉木代表「われわれは日本の民主主義を守る防波堤」「決してポピュリズムではない」
【政治ジャーナリスト 青山和弘氏】「山尾さんの指摘、つまり国民民主党がかなり右にポピュリズムのほうにふれてしまったんじゃないか。ただこれは、国民民主党がこれだけ人気が出た1つの理由でも僕はあると思うんですよ。自民党の保守層が国民民主党、参政党に流れたのが今回の選挙結果だと…」
【玉木代表】「これちょっと違っていて、私は全部意図的にいろんなことやっていますけども、1月にダボス会議に行ったときに、ドイツのメルツ首相・当時は野党のCDUの党首だったんですけど、ある程度、中道保守の勢力を伸ばさないと、結局極端な右派にいってしまうので、われわれはむしろ日本の民主主義を守る防波堤の機能として、ぐっと本当に右に行ってしまわないっていうか、ポピュリズムに行ってしまわないための適度な政策をタイムリーに出しているということで決してポピュリズムではないということは、ご理解いただきたいなと思います」
【青木キャスター】「誰が党内で歯止めをかけるんですか?」
【玉木代表】「全部私が決めているように見えるんですけど、われわれは全部合議体で決めているので、逆に私がこうしたいと思っても、なかなかそうならなくて。
党内の政策は政策・政調部門が決めますし、最終的には全議員が入った両院議員総会で承認されないと、候補者であれ、政策であれ、決まらない仕組みになっているので、逆に言うと個人の独断がそのまま通る組織になってないんですよ」
【政治ジャーナリスト 青山氏】「つまり反グローバリズムを明確に掲げている参政党と自分たちは違うんだということは、はっきり言えるわけですね?」
【玉木代表】「グローバリズムは、いろんな行き過ぎたグローバリズムは、私も直したほうがいいと思うんですけど。
国内対策がうまくいってないことを外にぶつけてけしからんというのは、自分たちを痛めることにもなってしまうので、その辺の冷静な議論をねきちんとやっていく政治を我々は進めたいなと思ってますね」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ」2025年8月11日放送)