夏の甲子園に広島県代表として出場していた広陵高校。
複数の部員による暴力行為をめぐり、SNSでは相次ぐ誹謗中傷が。
10日、辞退を発表した背景に何があるのだろうか。

■異例の判断 大会中に出場辞退
連日、熱戦が繰り広げられる夏の甲子園大会。
しかし、10日、突然の発表が…
広陵高校・堀正和校長:学校法人広陵学園の理事会を臨時に開催し、広陵高等学校の2回戦以降の出場を辞退することを決定いたしました。
1回戦を勝ち上がった広島県代表の広陵高校が出場辞退を発表。
不祥事での大会中の辞退は史上初だ。
「異例の判断」には一体、何があったのだろうか。

■高校野球の名門「広陵高校」で暴力事件
春のセンバツは優勝3回。
夏の甲子園は26回出場と高校野球の名門・広陵高校。
問題があったのはことし1月のことだった。
高校によると、当時2年生の部員4人が当時1年生の部員の胸や頬を叩いたり腹部を押すなどの暴力行為があったという。
学校は問題発覚後、高野連に報告。
ことし3月、高野連は広陵高校に対し、厳重注意をし、暴力行為をした部員は1カ月間公式戦に出場できない処分を受けた。
被害をうけた部員はすでに転校している。

■SNSで「暴力」拡散 波紋広がる…
そして、夏の甲子園大会が開幕する頃には…
【SNSの投稿より】
「1年部員を2年部員が繰り返し暴行。何事もなかったように、広陵高校は甲子園に出場」
「部員いじめは前からだったみたいやし、もう辞退したら?」
部内で暴力があったという情報がSNSで拡散。
さらに、これとは別に元部員が監督やコーチ、一部の部員から暴力などを受けたという情報がSNSで広がっている。

■高野連は「(対戦校に)ご迷惑をおかけ 残念なことに」
広陵高校は今月6日、1回戦を勝ち上がっていましたが、校長が10日、辞退を発表。
広陵高校の対応について日本高野連は…
日本高野連・寶馨会長:報告書に上がっていなかったようなことについては、対処のしようがなかったというのは正直なところ。(一回戦の対戦校)旭川志峯に、ご迷惑おかけしたことになりますし、県大会の段階でも、対戦校が広陵高校に負けて敗退していったわけですから残念なことになりました。

■SNSで誹謗中傷広がり、学校への爆破予告も
SNS上では、この問題を巡る様々な誹謗中傷が広がり、野球部員の顔がさらされたり、関係のない生徒が追い回されたりする事態になっている。
さらに、学校施設への爆破予告もあるという。
今回の事態について、SNSの誹謗中傷に詳しい神戸大学の森井名誉教授は「SNSの情報を全て真実とするのは危険。一線を超えた誹謗中傷は、自分自身が加害者になり得ることを自覚するべき」と指摘している。

■部員や保母者の気持ちは…
辞退を発表した10日、広陵高校の野球部員は地元・広島へ。
校長が緊急の保護者会を開き、250人ほどの保護者が集まったが、質問はなかったという。
広陵高校・堀正和校長:保護者の方が、我々の意に同意してくれている様子が、伺えました。
(Q.部員の様子は?)
広陵高校・堀正和校長:何とも言えない、つらい思いといいますか、目に涙をためていた生徒はいたと思います。

■今後、環境や指導体制を調査の方針
そして、今後の対応については…
広陵高校・堀正和校長:寮のいわゆる環境、そして運営の体制・指導の体制そういったところをやはり調査をしていく必要があろうと。それは行います。監督の中井先生においては、当面指導から離れてもらう。
広陵高校は、中井監督を当面指導から外した上で、指導体制なども含めた調査を行う方針を示している。

■「学校と高野連は真実に向き合う努力を」
この問題について、共同通信社・論説委員の太田昌克さんは、学校や高野連に「改めて真相究明を」と求めました。
太田昌克さん:真の問題解決が当初図られてなかったのではないかと疑念を抱きます。まずは学校側が徹底して真実を究明しないといけない。そして被害者の方にどこまで救済措置をとったのか、加害をした側についても、なぜこんなことをやったのか背景を明らかにしないといけないですよね。今からでも遅くないので、学校と高野連は真実に向き合う努力をしてほしいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月11日放送)
