水路の一面を覆う大量の水草。
全て“特定外来生物”です。
この水草が、高値が懸念される新米の生産量に影響を及ぼす恐れが出てきました。
取材したのは千葉・印西市の米農家、佐藤昭夫さん(67)。
東京ドーム3個分の田んぼでコシヒカリを栽培していますが、8月下旬に収穫を控える中、頭を悩ませていました。
千葉・印西市の米農家 佐藤昭夫さん:
これがナガエツルノゲイトウ。放置すると大変、繁殖力がすごい。
白い花を咲かせる南米原産の特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」。
長いつるが稲に絡みつくことで、新米の生産量にも影響する恐れがあるといいます。
佐藤さんは「(生産量)減りますよ、減収します。養分が吸われちゃうので。一番怖いのは(収穫時に)機械が目詰まりすること」と話します。
この植物の最大の特徴は驚異的な繁殖力です。
隣の佐倉市の水路では驚きの光景が。
水路が一面、芝生のよう。
空から見ると、少なくとも600メートル以上にわたり埋め尽くしていました。
なぜ、ここまで爆発的に繁殖するのか。
水の中で、絡み合う茎と根っこ、茎から次々と根を生やし増殖していくことが理由です。
農水省によると兵庫・尼崎市で初めて定着が確認されて以降、2023年2月の時点で25都府県、関東では茨城県でも確認されたといいます。
一方、専門家は長く続く猛暑が爆発的な増殖を加速させていると指摘します。
ナガエツルノゲイトウの専門家・丸井英幹さん:
やっぱり寒さが一番効く。冬場に枯れる。暑ければ暑いほど生育期間が長くなって増えていく。(Q.生息域が増える可能性は?)北限はどんどん北へ行くと思う。
専門家によると、米どころの東北・福島県までその生息範囲は拡大しているといいます。
さらに「根っこを駆除できなければ駆除にならない。水の経路を本当にゼロに駆除できないといつまでも終わらない。今まで大規模に侵入した場所で駆除が完了した例はない」と佐藤さんは話します。
この厄介な水草が収穫を待つ新米にも影響を及ぼしているのです。
千葉・印西市の米農家 佐藤昭夫さん:
農薬だけで60万円かかっている。普通の除草剤は稲が枯れちゃう。それ(特殊な農薬)は稲にかかっても枯れない。ナガエツルノゲイトウだけ退治してくれる。
米価格が高止まりする中、生産コストが増加する恐れも。
侵略植物が米作りを脅かしています。