2025年は昭和100年に当たります。連日、記録的な猛暑が続いていますが、現在ほど電化製品などが普及していなかった“昭和の夏”はどんな生活だったのでしょうか?
福井県立歴史博物館に常設されている「昭和のくらし」コーナーを訪ね、懐かしいくらしを垣間見ます。
◆昭和30年~40年代のくらし
福井市にある県立歴史博物館。館内を進んで行くと…雰囲気がガラッと変わる一角があります。昭和30年代後半から40年代の暮らしが再現されている“昭和の町並み”です。
福山千奈アナウンサー:
「昭和にタイムスリップ!平成13年生まれなので、私が知らない昭和の生活をのぞいてみます」
案内してもらうのは、ぎりぎり昭和生まれの橋本紘希学芸員(38)です。
「見たことないものがいっぱいある…」福山アナがまず気になったのが、再現された民家。
お茶の間には“昭和の日常”が―
「いまと比べてテレビが立方体で…レトロですね。扇風機はいまとそれほど形は変わらないけど、色がレトロですね」(福山アナ)
伝統的な嶺北の農家の家屋を戦後に改築し、西洋風のスタイルが広がりだした頃の生活です。
「机の上にサイダーの瓶が並んでいたりして、“夏仕様”になっています」と橋本学芸員。
続いて台所をのぞいていみると―
「あー!待って。見たことある!蚊帳みたいな…テーブルの上の。ばあちゃんの家にありました」(福山アナ)
見たことはあるけど…という福山アナに、橋本学芸員が使い道を教えてくれました。「蝿帳(はいちょう)というもので、あの中に食べ物を入れてハエが止まらないようにするんです」
「なるほど!ラップ替わりですか」(福山アナ)
台所の壁にコメ作りのスケジュールが書かれたカレンダーが貼られているのは、農家ならではの光景です。
◆エアコンの普及率は2%の時代
現代では必需品でも、昭和の頃には家庭にはまだなかったものが―
橋本学芸員:「何か気づきました?」
福山アナ :「家電製品?えー…何だろう。扇風機はあるけど、クーラーがない?」
橋本学芸員:「お!鋭いです。実はクーラーがまだないんです」
内閣府のデータによると、60年前の昭和40年のエアコンの普及率は、全国でわずか2%ほど。その後、昭和60年に50%を超え、平成の終わりには90%になりました。
ちなみに、昭和40年の夏、7月の福井市の平均気温は24.1度。過去最高となった2025年7月の29.6度と比べると、5℃以上も低かったようです。35度を超える猛暑日は、2025年には過去最多の19日ありましたが、当時は1日もありませんでした。
◆食堂のメニュー価格も再現
そして“昭和の町かど”を歩いていると―
福山アナ :「マンプク食堂も夏が始まっていますね」
橋本学芸員:「夏に合わせて“かき氷始めました”とか、展示変えているんです」
生活感があふれる店内。福山アナが驚いたのは、メニューの値段です。当時の写真をもとにメニューの値段を再現したそうです。
福山アナ :「え!?おろしそば30円、きつねうどん40円…」
橋本学芸員:「だいたい今の10分の1ぐらいですね」
福山アナ :「それにしたらビールは高いですね」(瓶ビール1本160円)
橋本学芸員:「確かに今より少し高いかな」
福山アナ :「“ご褒美”で飲んでいたんですかね」
駄菓子屋の店先には、アイスクリームの冷凍庫も。
いつの時代も子供たちが夢中になる虫とりですが…虫かごや虫取り網はレトロな雰囲気です。
昭和の生活グッズがずらりと並んだ「昭和のくらし」コーナー。橋本学芸員は「家電製品が増え、いまと似てるようで違う、新しい発見もある時代。家族でぜひ、おじいちゃん・おばあちゃんから当時の話を聞いたり、家族で盛り上がってもらえれば」と話します。
みなさんも“昔、家にあったな~”と思うものが見つかるかもしれません。