スマートフォンで電柱の写真を撮るだけで報酬がもらえる―
今、そんなお得で楽しいイベントが北海道内で始まっている。
実はこのゲーム、電柱の保守や点検に役立つ社会貢献型のアプリだ。
北海道函館市の観光スポット「ベイエリア」。
ここに佇む四角い形をした柱は、日本で最も古いコンクリートの電柱。
設置されたのは大正12年、いまから約100年前。

当時は木製電柱が主流だったが、火事が多かった函館では、燃えにくいコンクリート製が採用された。
この電柱はいまも現役で使われている。
これを含め、電柱は北海道内に約150万本。

いま、この北海道内各地の電柱の写真をスマホで撮ると報酬がもらえるというゲームが始まっている。
その名も「ピクトレ」。

観光客も熱中 家族で楽しめる「ピクトレ」
「撮れました」
「俺もやりたい」(男の子)
「こうやってやるんだ、電柱を制覇しました」
「ポイントゲット!面白ーい」(いずれも埼玉県からの観光客)
埼玉県から観光に訪れた家族も「ピクトレ」に初挑戦。

スマホの専用アプリで、街中の電柱を撮影し、画像をアップすることで、ネットショッピングのギフト券などと交換できる報酬がもらえる仕組みだ。
「ゴールド4になった」(男の子)
「(Q:どう?やってみて)楽しい!」(男の子)
「遊びながら楽しくできていい、それが社会貢献できているなら嬉しいかな」(母親)

ゲームの背景には深刻な課題が
実は、このゲームの背景には、深刻な課題が―。
老朽化した電柱の保守・点検が今後、人手不足で追いつかなくなる可能性があるという。
「札幌市中央区の住宅街で折れた電柱です。現在黄色いテープが巻かれた辺りから狭い路地にむかって折れたということです」(川瀬雄也記者)

7月26日、札幌市中央区南5条西21丁目の住宅街で、突然電柱が途中から折れて、電線などが垂れ下がった。
「ガシャーンと大きい音がして、びっくりして見たら倒れていた」(付近に住む人)
北電ネットワークによると、原因は経年劣化による破損の可能性もあるという。

日々点検もすべての電柱の巡回には約2年
コンクリート電柱の建て替え目安は、一般的に約40年。
北電ネットワークでは、約900人の作業員が目視や双眼鏡で日々点検しているが、すべての電柱を巡回するには約2年かかるという。
「(電柱が)150万本という本数と北海道が広いということがあり、点検にすごく人の手がかかる。点検の担い手も高齢化などで確保が難しくなっている」(北電ネットワーク 古西宏治さん)
こうした課題の解決を目指し始まったのが、ゲーム方式による写真の収集だ。

アプリの写真を点検に活用“市民の目”が力に
「新しい取り組みで、市民の皆さんにも(電柱を)見ていただく。より効率的にもなりますし、それが担い手の問題の解消にも繋がるのでは」(北電ネットワーク 古西さん)
スマホアプリ「ピクトレ」で撮影された電柱の写真は、北電ネットワークに共有され、電柱の点検業務にも活用される仕組みだ。

地図で電柱を探して撮影 誰でも挑戦できる
どんなゲームなのか―アプリを起動すると、地図上に電柱マークが無数に出てくる。
グレーのマークが、まだ誰も制圧していない電柱だ。
地図を頼りに、電柱を探し出し、写真を撮って次々と電柱を制圧していく。
「撮りました、もう一度違う角度で電柱全体を撮影します」(阿部空知記者)

電柱全体、電柱の上部、番号札などを撮影していく。
「5枚撮りました、この送信ボタンを押してみます」
「撮影完了ということで、この電柱を制圧したということですね」(阿部記者)

ゲームの普及にかかる期待
函館市の「ベイエリア」を記者が約15分間歩いたところ、7本の電柱を制圧することができた。
「写真を5枚撮るんですけど、以外に簡単に、あまり撮影エラーもでないので、結構サクサク撮れました」
「写真の例がちゃんと表示されるので、わかりやすいですね、どう撮ればいいか。子どもでもすぐにできるゲームだなと思いました」(阿部記者)
「このゲームが盛り上がってですね、設備の点検に役立つ画像データがたくさんいただくことができて、効率化に繋がることを非常に期待しております」(北電ネットワーク 古西さん)

電柱の写真を撮るだけで報酬がもらえ、社会にも貢献できる。
北海道内の電柱が対象のスマホアプリのゲームは10月12日まで行われている。

「北海道まちバトル」は10月12日まで
改めてどんなゲームなのか紹介する。
・マップで電柱を探す(グレーの電柱マークが誰も撮影していないもの)
・指定されたアングルの電柱写真を撮影
・ポイント獲得
→ギフト券などに交換可
全国版のアプリで、「北海道まちバトル」は10月12日まで。
