宇和島市で廃校を活用したユニークな特別授業

愛媛県宇和島市津島町の閉校した浦知小学校で、地域住民と生徒を対象とした「1日限りの学校体験イベント」が開催された。

そこには子供に人気のアニメや高齢者も性別も関係なく、みんなが心躍るふたりの人物。

いったいどんな特別授業が行われたのだろうか。

地元出身者が特別講師
地元出身者が特別講師
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1日限りの学校体験イベント

舞台は宇和島市津島町の靜かな入り江の集落。集落に唯一あった浦知小学校は人口減少に伴う統廃合で2011年に閉校した。

7月25日、閉校した校舎にはたくさんの人の姿が。地元・津島分校の生徒や高齢者など年齢も性別もさまざまな、約50人が集まった。

実はこの校舎、去年地元の人たちが集まったり、交流したりする場としてよみがえり、イベントなどが定期的に行われている。

今回行われたのは「1日限りの学校体験イベント」。この日のために特別講師が授業を担当し、当時の時間割に沿って授業が進んだ。

1日限りの学校体験イベント
1日限りの学校体験イベント

特別講師は宇和島市出身の歌手・中川奈美さん

1時間目の「国語」を受け持ったのは…

歌手・中川奈美さん:
「みなさんおはようございます。中川奈美と申します。きょうはよろしくお願いします」

アニメ「鬼滅の刃」の挿入歌「竈門炭治郎のうた」で知られる宇和島市出身の歌手中川奈美さん。地元のためにと快く講師を引き受けた中川さんは、授業の中で書き下ろした詩を披露した。

宇和島市出身の歌手中川奈美さん:
「校舎の壁。ぼくは人間は嫌いだだって、自分勝手だから自分勝手に建物を建てて、しばらくしたら急に使わなくなる。この学校を何かに使いたいんですよ。まだまだみんなの役に立つと思うんです」

歌手・中川奈美さん
歌手・中川奈美さん

詩を一人ずつ朗読

参加者はそれぞれが抱く校舎への想いや希望を声に込めながら、詩を一人ずつ朗読した。

生徒:
「気持ちを込めるのが難しかったけど、楽しかったです」

中川奈美さん:
「楽しかった?うれしい!ありがとう!これから人生で嫌だなと思ったら、嫌だなじゃなくて楽しめるポイントどこ?って探してみてください。そうすると自分の糧になって、素敵な自分を作っていきます。騙されたと思ってやってみて。そうしたら『鬼滅の刃』出られるかもしれないよ」

そうしたら『鬼滅の刃』に出られるかも
そうしたら『鬼滅の刃』に出られるかも

「Dr.コトー診療所」の作者である漫画家、山田貴敏さんが講師

中川さんとともに特別講師を務めたのが、「Dr.コトー診療所」の作者として知られる漫画家の山田貴敏さん。

「総合学習」を担当した山田さんは、「医療系は読まれない」と編集長に反対されながらも、「自分が描きたいもの」を貫き、離島医療を描いた名作漫画の誕生につながった当時のエピソードを紹介した。

「Dr.コトー診療所」作者山田貴敏さん:
「自分が思ったことを続けるということはもちろん大事。ただ続けているだけではなくて、人に受け入れられるものをどうやったら見つけられるかって、それを考えることがすごく大事」

「Dr.コトー診療所」作者・山田貴敏さん
「Dr.コトー診療所」作者・山田貴敏さん

じゃんけん大会で優勝したのは看護師志望の生徒

イベントでは山田さん直筆のサイン色紙をかけたじゃんけん大会も行われ、大盛り上がり。

勝ち抜いたのはなんと看護師を目指す生徒。

山田さんはその場で、「看護師になってね」と文字を添えたサイン色紙に主人公のイラストを描き上げ、「受験のお守りに」とプレゼント。会場は大きな拍手に包まれた。

参加した生徒:
「集まって講義を受けたり、こういう作ったりすることがあんまりないので、今後もやってほしいなと」

参加した住民:
「ぼくは73歳なんですけど、年寄りがみんな集まって色んなことができるのは良いと思いますよ」

「受験のお守りに」とプレゼント
「受験のお守りに」とプレゼント

イベントの成果と地域への貢献

イベントの運営に関わった浦知小学校の卒業生・清水さんは…

浦知地区活性化協議会・清水辰洋副会長:
「閉校になって子どもの声が途絶えましたけど、ようやくここに来て地域の賑わいが少しづつですけど戻ってきたので、嬉しいような気持ちでお手伝いさせてもらってます」

閉校した校舎で1日限りの特別授業。

にぎわいが戻った校舎は地元の人たちが集い、学び、つながる場として地域の未来を支える役割を担い続ける。

地元の人たちが集い、学び、つながる場として
地元の人たちが集い、学び、つながる場として
テレビ愛媛
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