最低賃金の引き上げをめぐる厚生労働省の審議会は異例の7回目にもつれ込んだが、4日夕方、過去最大の63円引き上げ、全国平均で時給1118円とする目安をとりまとめた。働く側、そして経営者はどう感じているのか、現場の声を取材した。
44年ぶり7回目の審議
最低賃金について話し合う厚生労働省の審議会。

44年ぶりに7回目の審議にもつれ込む異例の展開となった。

最低賃金は現在、全国平均で時給1055円だが、2025年度の改定では全国平均で6%、額にして63円前後の過去最大となる引き上げの目安を示す方向で議論が進められてきた。

目安通りに引き上げた場合、全国平均の最低賃金は時給1100円を超え、全ての都道府県で1000円を超えることになる。

パート従業員からはもちろん喜びの声が聞かれ、「うれしいです!」「単純に毎月いただける給料がちょっとでも上がれば、一個人の生活としてありがたい」などと話した。
「106万円の壁」働き控えで人手不足加速のおそれ
石破政権は最低賃金を2020年代に全国平均1500円とする目標を掲げていて、達成するためには単純計算で毎年7.3%、90円近くの引き上げが必要になる。

一方で、最低賃金引き上げにより年収が上がると、社会保険の加入が義務付けられる「106万円の壁」を超えないよう働く時間を抑える人が増え、人手不足がさらに加速するおそれがある。

パート従業員に「106万円の壁」について聞くと、「(働く時間を)調整しています。給料が増えることに関してはうれしいが、壁の問題ですね」と話した。
アキダイ秋葉社長「企業的にもいっぱいいっぱいの賃金」
企業側も働き控えに頭を悩ませている。

アキダイ・秋葉弘道社長は「代わりがいる人ばっかりじゃないっていうことだけは頭に入れてほしい。パートさんだったら頭数がそろえばいいわけじゃない」と表情を曇らせる。

厚労省の審議会はこれまで6回の議論を重ねてきたが、結論は持ち越しとなり、1981年以来44年ぶりとなる7回目の会合を4日に開催した。

労働者側は、物価高が続く中で最低賃金の大幅引き上げを求めているが、企業側は「過度な引き上げは中小企業への経営に打撃を与える」などとして慎重な姿勢を示していて、議論が長期化しているのだ。
アキダイ・秋葉弘道社長は「物価高で仕入れ価格も上昇している。企業的にもいっぱいいっぱいの賃金まで来てると思うんですよ。そこにきて、さらに大幅な値上がりっていうのは、これはもう本当に中小企業いじめとしか言いようがない」と話した。
(「イット!」 8月4日放送より)