ハンセン病への差別や偏見をなくそうと、沖縄愛楽園を撮影した男性が写真集の発刊を記念したイベントで撮影に至る経緯や写真に込めた思いを語りました。

福島県出身でカメラマンとして活動していた鈴木幹雄さんは、1974年にハンセン病患者の療養施設・沖縄愛楽園を訪れ当時の様子を撮影しました。

鈴木幹雄さん:
(愛楽園の)園長先生にお会いすると「君ここでどういう写真を撮りたい」のと言うので差別偏見をなく写真ですと」(応えた)

ハンセン病を巡っては、国の誤った認識に基づく強制的な隔離政策がとられ、沖縄愛楽園でも多くの患者が家族と離れ離れの生活を余儀なくされました。

当時、25歳だった鈴木さんはカメラを正面から向けることが出来ず、撮影した写真は後ろ姿ばかりでしたが、ある日、入所者から掛けられた一言で愛楽園を訪れた目的を強烈に再認識させられました。

鈴木幹雄さん:
後ろから撮っている僕をずっと見ていたんですね。ここ(愛楽園)に写真を撮りに来たのに、後ろばかり撮っている。正面から撮って良いんだからって言われた

およそ1年間、愛楽園に通い続けた鈴木さんは、入所者のひとりひとりに向き合ってシャッターを切り続けました。

鈴木幹雄さん:
(私と一緒で)ヴィオレットという同じタバコだねって、ニコって笑ってそこをシャッターを切った一枚です。この写真は金城さんとタケさん。タケさん(右)は園の中で一番仲良しになった方です。(部屋に)行くと「お腹すいていないか」と食べ物を用意してくれて煙草を買いなさいってお金をくれたり、一番親しい方です

鈴木さんは「差別や偏見をなくす写真が撮れたかは、分からないが少しは近づけた気がする」と振りかえりました。

鈴木幹雄さん:
園の中で色んな人生を送ってこられて、残された人生と命を力強く全うしようという事を写真を見て感じてほしいです。生きるという事のすばらしさを

鈴木さんの写真は、名護市の愛楽園交流会館で10月31日まで見ることができます。

沖縄テレビ
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