日本人の3人に1人が発症すると言われている帯状疱疹。2025年4月から、高齢者を対象にワクチンの一部公費負担での接種ができるようになりました。今回は、その原因や症状、予防の鍵となるワクチンについて専門医に聞きました。

◆70代の発症が最多

帯状疱疹について福井県済生会病院皮膚科の長谷川義典医師は「発疹と痛みが出る病気で、痛みの方が先に出て、後から発疹が出てくることが多い」とします。
   
年代別の患者数は、50代から増え始め70代が最も多くなっています。
 
原因となるのは、子供に発症が多い水ぼうそうです。「水ぼうそうが治った後もウイルスが神経節という神経の細胞に潜伏するといわれていて、その神経に沿ってウイルスが増殖し、痛みと発疹を起こす」と長谷川医師。

◆顔面の症状は目や耳に後遺症も

また、水ぼうそうを発症したことのない人も注意が必要です。子供の頃に水ぼうそうワクチンを接種した場合、感染しても発症しないことがあります。しかし、免疫力が低下している時や高齢になると、突如、帯状疱疹を発症する恐れがあるのです。
    
薬や点滴を使って治療し、多くの場合、発疹は3週間から1カ月程度で治ります。神経の痛みは3カ月以内に治まることが多いのですが、その後も発症した部分に神経痛が残る後遺症「帯状疱疹後神経痛」に苦しむ患者もいます。「差し込むような痛み、ずきずきするような痛み、しびれを伴うこともある」(長谷川医師)
 
顔面に症状が出た場合は、水ぼうそうウイルスが目や耳に通じる神経に感染している可能性があり、角膜ヘルペスや難聴、まぶたや口の動きをコントロールできなくなる顔面神経麻痺が起こる場合もあります。

◆65歳以上はワクチンが定期接種の対象に

長期にわたって患者を苦しめることもある帯状疱疹。2025年4月には、65歳の高齢者を対象に帯状疱疹ワクチンの予防接種が定期接種の対象になり、一部公費負担で接種できるようになりました。
  
ワクチンには、弱毒化したウイルスを使った「生ワクチン」と、ウイルスの表面にある抗原に免疫を増強させる物質を混ぜて作られた「組換えワクチン」の2種類があります。接種回数は生ワクチンが1回、組換えワクチンが2回です。多くの自治体では接種費用を半額負担していて、自己負担費用は、生ワクチンで約4000円、組換えワクチンだと約2万円です。

◆早期回復のカギは早めの受診

長谷川医師によると接種してから5年の時点で、生ワクチンの場合は40~50%、組換えワクチンの場合は90%以上発症のリスクを抑えられるといいます。ただ、副作用に注意が必要だといいます。「(生ワクチンと組換えワクチン)双方に言えることだが、注射した部位に腫れや痛みが出ることはしばしばある。組換えワクチンは免疫増強作用がより強いため、腫れ方や痛みがより強いことが多いと言われている。さらに、発熱や頭痛、倦怠感もより出やすい」
  
疾患により免疫力が下がっているみられる人は生ワクチンの接種ができないため、こちらも注意が必要です。
 
長谷川医師によると、早めの受診が早期回復の鍵となるため「痛みのある発疹に気付いたら、早めに皮膚科を受診してほしい」としています。

福井テレビ
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