かつて福井藩のシンボルとして親しまれながらも明治時代に取り壊された坤櫓(ひつじさるやぐら)の復元工事が、福井県庁がある福井城址で7月3日から始まりました。2029年度の完成を目指し、30日から工事の足場を確保するため、お堀の一部の水抜きが始まります。
吉田圭吾アナウンサー:
「こちらは福井県庁前の御本城橋です。この橋の西側の石垣の上で復元される坤櫓の復元工事が今月から始まりました。新たな景色が生まれるのは約4年後です」
坤櫓は福井城の天守の南西にあり、物見や資料の保管に活用されていた建物です。
坤櫓の高さは16メートル、木造3層構造で、1669年の大火で天守とともに焼失したものの、その後再建され、明治時代初期の廃城令で取り壊されるまで福井藩のシンボルとして親しまれていました。
県は福井商工会議所や福井市とともに、2022年に策定した県都グランドデザインに基づき、坤櫓とその西側の土塀の復元を目指しています。
7月から始まった工事では、クレーン重機などのスペースを確保するためにお堀の一部の水を抜くための作業が進められています。水を抜く作業は7月30日以降に行われ、年内を目標に堀を埋め立て、その後、石垣の補強工事を行う予定です。
県の担当者は「坤櫓は往時の規模を再現し高さ16メートルで復元する。 県内で一番大きな城郭施設。新幹線駅から見える城は全国的にも貴重なので、復元を楽しみにしてほしい」と話します。
坤櫓は坂井市の丸岡城の天守を上回る大きさで、 復元されると福井駅からも望むことができるということです。
県によりますと、坤櫓と土塀の復元にかかる事業費は約40億円で、2029年度中の完成を見込んでいます。