マイナカードの保険証ひも付けの「登録解除」が、10月28日から可能になった。
これまでは、自治体のミスで勝手に利用登録されたなどの特殊ケースでしか解除できなかったが、今後は誰もが自由に解除したり、再登録したりできるのだ。
確か、利用登録はマイナポータルから簡単にできた。
解除も同じようにやれば良いのか?と思いきや、申請書類を役所まで郵送するとか、なんか面倒くさそう。
具体的にどうすればよいのか、そして解除したらどうなるのか、調べてみた。
■「まずは電話」の自治体も 対応はバラバラ
この記事の画像(6枚)解除申請は、加入している健保(国保の場合は自治体など)が窓口となるが、それぞれの対応が異なる。「受付開始時期」や「申請書類の入手・提出方法」なども、健保や自治体(以下、「医療保険者」)ごとにバラバラなのが実情だ。
東京都渋谷区は、「マイナ保険証の利用登録を解除したい人は下記に問い合わせてください」と電話番号が書いてある。平日の日中に電話をかけないといけない、ということか。
対応が進んでいる自治体もある。
東京都東久留米市は、解除を希望する人の利便性を考え、独自にマイナポータルで受付ができるという。もちろん、窓口や郵送での申請も可能だ。
ほかにも、福岡のいくつかの自治体では、オンラインでも申請ができる。平日に役所に足を運べない人にとってはありがたいシステムだ。
■自分の地元の自治体に問い合わせてみると…
さて、私の住む自治体の健康推進課に問い合わせてみたら、ちょうど11月1日から受け付けが始まっていた。
基本は書面での申請。「利用解除申請書」を記入して、本人確認書類と一緒に、健康推進課に提出すると、翌月末に手続きが完了する。
申請書の入手方法は「HPからのダウンロード」「電話して郵送してもらう」「窓口受け取り」など。提出は、健康推進課の窓口に持参するか郵送。
本人確認書類として、「マイナンバーカード」「運転免許証」「パスポート」などが必要だ。
あとは、手続き完了を待てばいい。
その後は、今ある保険証の有効期限が切れる前に、「資格確認書」が送られてくる。保険証の代わりとなるもので、今後は医療機関の窓口に、資格確認書を提出すれば保険診療が受けられ、負担率もこれまでと変わらない。
資格確認書は従来の保険証と同じサイズで、形式も極めて似ているので、使う方の違和感は少ないだろう。
ちなみに、地元の自治体では、「マイナ保険証の解除ができるようになった」ことを、各家庭に配布している広報誌などで、随時アナウンスしていく予定だという。
柔軟な対応をしてくれる自治体なので、手続きはスムーズに進みそうでありがたい。しかし、自治体によっては、窓口のみ、平日のみなど、対応が限定されそうだ。
■資格確認書の有効期限はどうなる? 企業によっては3カ月おきに申請
資格確認書の有効期限は最大5年だが、実はこれ、医療保険者が自由に設定できる。
地元自治体は、従来の保険証と同じ、一年ごとの更新で、期限が切れる前に新しいものが送られてくるとのこと。現状は自動更新の予定だが、今後、国の方針によっては、その都度の申請が必要になる可能性もあるという。
以前、取材をした際、某大手企業の健康保険組合は、有効期限を3カ月に設定していた。3カ月ごとに申請をするのは大変手間である。わざと面倒な手続きをさせることで、マイナ保険証利用へと誘導しているように思えた。
■未だに「他人の情報の紐づけ」が起こっている
保険証の新規発行停止まで1か月となったが、厚生労働省によると、9月のマイナ保険証の利用率(最新)は13.87パーセント。今も多くの人が利用していない。
10月17日に全国保険医団体連合会が発表した「2024年5月以降のマイナ保険証調査」によると、回答した13000医療機関のうち、「トラブルがあった」のは70.1パーセント。つまり、約9000件の医療機関で、直近5か月にマイナ保険証のトラブルがあったというのだ。しかも、一年前の前回調査より10パーセント増加しているという。
具体的な内容はというと、「資格情報が無効(47.8パーセント)」「該当の被保険者番号がない(18.5パーセント)」「負担割合の誤り(10.9パーセント)」という具合で、「カードリーダーの接続・認証エラー」に至っては52.9パーセントと過半数の医療機関で起こっている。頻繁に起こると回答した所も多く、もはや不具合が起こるのが当たり前になっているらしい。
しかも、「他人の情報がひも付けられていた(2.1パーセント)」と、個人情報に関わる大きな問題が、いまだに189の医療機関で起こったというのだ。
利用率が全体の1割程度で、これだけトラブルが起こるということは、今後、利用者が増えたらどうなってしまうのか。
従来の保険証を廃止し、マイナ保険証への一本化を進めるなら、まずはトラブルを減らす対策を考え直していただきたいと思う。
(関西テレビ 2024年11月2日)