オスのエゾシカに後ろから襲いかかる、体長1メートルほどのクマ。
首のあたりにかみつき、林の方へと引きずっていく。
7月27日午前10時すぎ、北海道東部の羅臼町の国道で車内から撮影されたものだ。
付近には民家が10戸ほど点在していて、最も近い住宅からは約50メートル。
観光名所の知床峠へと続く一本道で、観光客やライダーもよく利用するという。

ヒグマの異常行動に専門家「餌不足が原因」
このように人通りのある場所でクマがシカを襲うケースについて専門家は。
「夏はヒグマにとって餌が不足する季節で、シカを食べるために襲った可能性がある。切羽詰まって人前でシカを襲った可能性がある」(酪農学園大学 伊吾田宏正准教授)
春はフキなどの山菜、秋はドングリなどの木の実などクマの餌となるものが比較的豊富だが、夏場はそれが少なくなるのだ。

エゾシカもヒグマも増加
さらに、こんな背景も。
「北海道全域でエゾシカの個体数もヒグマの個体数も多すぎるので、今後も時々目撃されるのではないか」(伊吾田准教授)
このあと通報を受けた町の職員が付近の山林で、この個体とみられるクマを駆除した。

相次ぐクマの出没 家庭菜園も被害に
北海道各地でクマの出没が相次いでいる。
何かをむさぼり食うような音があたりに響く。
7月25日午前3時30分ごろ、北海道南部の上ノ国町でUHBの取材班が設置したカメラが捉えたクマの姿だ。

住宅の家庭菜園に植えられたスイカやメロンを食い荒らしている。
クマによる食害は、この映像が撮影された2日前にも確認されたばかりだった。
「食べ物がないから同じ所に来るのか。動物だから、どうしようもない」(家庭菜園を荒らされた人)

食害なぜ繰り返される?“成功体験”が原因か
同じ家庭菜園に執拗に現れるクマ。
なぜこのように食害を繰り返すのだろうか。
「最初は警戒しながら空腹のため手を出し、成功体験をすることで出没を繰り返してしまう。クマの個体数が過剰なので、たくさん出没してしまう」(伊吾田准教授)
上ノ国町は、7月12日に新聞配達中の男性がクマに襲われ死亡した福島町の隣町だ。
警察は24時間体制でパトロールを行い、警戒を強めている。
