岐阜県安八町の「ハイショップ ヤスイ」は、全国各地の鮮魚や、天然素材にこだわった野菜や総菜などが話題のスーパーです。有機野菜や手作り総菜など“体に優しい品”を充実させた独自路線で、遠方からも客が足を運ぶほど人気となっています。

■「天然の魚しか仕入れない」…海のない岐阜に全国各地の鮮魚がズラリ
岐阜県安八町の「ハイショップ ヤスイ」は、連日大勢の人が訪れる人気のスーパーです。

男性客:
「日本全国の色々な魚が入ってくるので、もう絶対ここがいい、岐阜なら」
別の男性客:
「(魅力は)魚の新鮮さです。(他に)ないですね。これだけ魚揃えているところ」
人気の理由その1は、海がない県・岐阜のローカルスーパーでありながら、九州から北海道まで天然にこだわった全国の魚介類が並ぶ鮮魚コーナー。

二代目店主・安井宏未さん(67):
「長崎のカマス。夏のお魚ですのでお買い得に。これは珍しい魚で、ハチジョウアカムツ、白身のモチモチしたお魚。これは鳥取のマダイ、お刺身でも塩焼き、煮付けでも、ムニエルでもいい」

海のない岐阜だからこそ「天然の魚しか仕入れない」とこだわりを語る宏未さん。気持ちを込めて贅沢に刺し身をさばきます。
宏未さん:
「長崎産の本マグロ、モチモチで美味しいですよ。フエダイという珍しい魚。ホタテは今一番高い。これはヤイトガツオ、脂が乗ったカツオ」

食べたことがないもの、おいしいものを提供したい。それが安井さんのモットーです。
■調味料も体に優しいものを厳選…有機栽培の野菜や手作りのお総菜が充実
人気の理由その2は、健康志向で安心できる品揃え。

女性客:
「オーガニックとか、自然由来なので、安心して子供に。お菓子も気にするけど、ここでは安心して買っちゃいます」

岐阜県で作られた有機栽培の野菜や抗生物質を使わず環境の良い場所で育てられたお肉。さらに、練り物など加工品にお茶、お菓子まで天然素材にこだわっており、他の店ではあまり見かけないような商品が多く揃っています。
人気の理由その3は、手作りの総菜やお弁当。

男性客:
「ここのマグロ(の寿司)がおいしい」
新鮮なネタを職人が握る寿司や、毎日30種類以上手作りする総菜類はどれも母の味と評判です。

使う調味料も体に優しいものを厳選し、すべて公開しています。
■きっかけは1本のドレッシング…体に優しい食品を探し続けて25年
総菜などをつくる厨房には、約10人のスタッフが働いていました。
宏未さん:
「(人数が多いのは)やはり手作りですので。冷凍物は使わないので、ほとんど」

手作りにこだわるため、スタッフはいつの間にか20人近くになりました。メンバーには、宏未さんの妻・桂子さん(60)や、妹の夕美子さん(64)、めいの千穂さん(34)など宏未さんの家族も働いています。
「ハイショップ ヤスイ」のルーツは、宏未さんの祖母が営んでいた駄菓子と雑貨を扱うお店。その後、昭和30年に両親がスーパー「安井商店」を開業。昭和55年に店を受け継いだ宏未さんが、「ハイショップ ヤスイ」と現在の店名に変更してリニューアルオープンしました。

宏未さん:
「ハイショップは、上のほうを目指すと(名付けた)。普通とは違うお店にしたいって」
意識したのが、他の店との差別化。そして、一本のドレッシングと出会います。

宏未さん:
「これをある料理雑誌で見つけて、ピンとインスピレーションみたいな感じで。普通の八百屋さんからこだわりの八百屋さんに変わる元がこれだった」
天然素材だけで作ったドレッシングがきっかけで、宏未さんは健康志向の商品を充実させようと決意しました。

宏未さん:
「ここから、これだけの商品(を揃えるの)に25年。周りに大きなお店ができて、同じ商品を扱っていても、値段でも数量でも負けちゃうので」
大型店に負けないために、体に優しい食品を探すこと足掛け25年。ようやく満足する品揃えになったと、宏未さんは話します。
■客「食のセレクトショップみたい」…バリ島の塩から大豆が香るこだわりの国産豆腐まで
宏未さんに、お勧めの商品を教えてもらいました。
宏未さん:
「岐阜・恵那の山奥の豚で手作り。肉そのものの味がして美味しい」

良いものなら、外国産の商品も扱います。
宏未さん:
「究極の塩と言われる、バリ島の塩。ミネラルがいっぱい入っていて、太陽の光もいっぱい浴びて、甘くて美味しい」

バリ島で500年前から作られているという「完全天日塩テジャクラ」(864円~)。東海地方でこの塩を販売しているのは宏未さんの店だけといいます。
そして、宏未さんがぜひ食べてほしいと話すのが京都・久在屋(きゅうざや)の「地豆腐」(1パック507円)。この豆腐は、久在屋の社長が日本各地で探してきた貴重な地大豆を使用。しかも、月替わりでその大豆を変えているといいます。

宏未さん:
「最初は全く売れませんでした、高くて」
大豆にこだわり、天然のにがりと水で職人が作る京都の豆腐は、宏未さんの一押しの商品で、「ハイショップ ヤスイ」以外では百貨店しか扱っていないといいます。
女性客:
「(来店は)数えきれないです。今日はこれを買いに。吉野本葛入り(三輪そうめん)。(他では)売ってないから、買ってしまう。食のセレクトショップみたい」

「ハイショップ ヤスイ」でしか手に入らないものも多いため、ついつい買い過ぎてしまう人も。
男性客:
「(2万円まで)いっちゃった」

宏未さん:
「例えばお子さんがテストで100点取った時に、『それじゃヤスイさんであれ食べようか』って。そういう日常の楽しい出来事にヤスイが思い浮かべてもらえるような店を目指したい」
差別化に成功した町の小さなスーパー。「今後も生活に欠かせない店にしたい」宏未さんの願いです。
2025年7月7日放送
(東海テレビ)