試練をいくつも乗り越えながら営業を続けている鹿児島県志布志市のプールを紹介します。
2025年の夏、悩まされているのは、海藻です。
4日遅れとなったプール営業初日に密着しました。
(あ、あ、プールご利用のお客様~)
注意事項のアナウンスを練習する女性に、貸し出し用の浮輪に空気を入れて膨らませるスタッフ。
今シーズンのプール営業初日となった23日、スタッフは準備に大忙しでした。
今から44年前の1981年にオープンした「ダグリ岬遊園地」。
旧志布志町が地元の町工場と一緒に開発した太平洋を望む岬の中にある遊園地です。
施設は老朽化がかなり進んでいますが、「昭和レトロが味わえる」を売りにしていて、前向きに営業しています。
そんな遊園地に併設しているのが、今回紹介するプールです。
日に焼けた肌にサングラスが似合う、こちらの男性。
旧志布志町から依頼を受け、遊園地の乗り物をつくった谷口製作所の谷口博盛さんです。
遊具のメンテナンスに加え、18年前からは遊園地の指定管理者も任されていて、施設の老朽化や新型コロナによる約3年の休園など、いくつもの試練と戦いながらこの場所を守っています。
そんな谷口さんがこの夏、必死に戦っているのが「海藻」です。
谷口製作所・谷口博盛さん
「ここは海水のプールなんです。海水を引き上げて水をためるが海が荒れてポンプアップできない状況が続いて、海藻が2025年はものすごく漂ってきてポンプに詰まってしまって」
海が落ち着くのを待ったため、2025年は営業開始が4日も遅れてしまったのです。
午前10時。
お客さんが次々にやってきました。
すると、入れ替わりで谷口さんがプールから出てきました。
谷口さん
「ポンプが詰まったので。海藻だと思うので今から除去しに行きます」
谷口さんはポンプの設置場所に行くとゴーグルを付けて海に潜りました。
ポンプに詰まっていたのはワカメや昆布など何種類もの海藻。
(プールが真水だったら...)
谷口さんの心の声が聞こえてきます。
その頃プールではー。
今シーズン1番乗りの利用客
「夜勤明けでミャンマーから来ている(技能実習生の)2人を連れてきたが、ミャンマーはプールで遊ばないみたいで、人生で2回目と1回目です」
介護施設で働く女性3人組が1番乗りでプールを楽しんでいました。
ダグリ岬遊園地のプールは、長さ100メートルの流れるプールと水深40センチの幼児用プールの2種類。
コロナ禍前まではスライダーもありましたが、コロナで休園している間に傷みが進んでしまい、撤去しました。
「こっちだよ!」
おそろいの水着を着た幼い姉妹も楽しそうです。
「イルカショーでした!」
海から戻ってきた谷口さんに頑張る理由を聞いてみました。
谷口さん
「お客さんのためですね。子供の笑い顔、声が一番です。子どもの笑い声って今や貴重だと思う。そういう場所をなくさないように」
その思いは子供たちにも届いていました。
子ども
「楽しくて24時間いられます」
「楽しい」
保護者
「初めて来た。海水を使っていて、子どもたちもびっくりして、楽しんで泳いでいる」
みんなにずっと笑っていて欲しいー
ダグリ岬遊園地のプールはこの夏も元気に営業中です。