刺されると最悪の場合は死に至る恐れもある「スズメバチ」。

被害のピークは例年秋ごろだが、いまこの時期に刺される人が増えている。

取材を進めると、“暑すぎる夏”と“早すぎる梅雨明け”の影響で被害が相次いでいることが分かってきた。

「スズメバチ」
「スズメバチ」
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■例年は秋に被害増加もことしはすでに全国各地で被害相次ぐ

私たちの生活圏に潜む「スズメバチ」。

獰猛(どうもう)な性格と強力な毒をもち、刺されると最悪の場合死亡する恐れもある危険生物だ。

例年は秋にかけて攻撃性が高まり人への被害が増える傾向ですが、ことしは早くも全国各地で被害が確認される事態に…。

北海道帯広市では今月20日、ソフトテニスの大会に参加していた17人がスズメバチの被害に遭った。

さらに、大阪府に住む男性(50代)も今月19日、昆虫採集で山へ入った際に襲われた。

スズメバチに刺された大阪居住の男性:木を蹴ってクワガタを捕ろうとしたら、スズメバチに足を刺されました。感電したように刺さった後に痛かったです。押しピンで刺さったくらいではなく、それの10倍くらい。今までに見たことないくらい、体験したことがないくらい腫れる。それに痛いんですよ。

スズメバチに刺された大阪居住の男性
スズメバチに刺された大阪居住の男性

■スズメバチの被害が相次ぐ背景は“暑すぎる夏”と“早すぎる梅雨明け”か

スズメバチの被害が相次ぐ背景には一体、何があるのか。

専門家は“異常気象の影響”を指摘する。

スズメバチを研究する神戸大学・佐賀達矢助教:北海道でハチが刺されたニュースを聞いて、例年より早い時期に被害があるなと。スズメバチたちは飛ぶために体を温めないといけないんですけど、6~7月くらいのこの暑さくらいでしたら、よく活動できるんじゃないかなと。

スズメバチは気温が30度に達するとより活発になるといい、ことしは、30度を超える日が6月から続いていたため、例年より早く活動した可能性がある。

さらに佐賀助教は、「早い梅雨明けが成長を促した」と指摘する。

スズメバチを研究する神戸大学・佐賀達矢助教:雨だとスズメバチは外にエサを捕りに行ったり巣材を集めにいったりしないんですけど、ずっと晴れていると、それらの仕事ができるので早くから上手く巣作りできたのかなと。

“暑すぎる夏”と“早すぎる梅雨明け”で、被害が相次いでいることが分かってきた。

スズメバチを研究する神戸大学・佐賀達矢助教
スズメバチを研究する神戸大学・佐賀達矢助教

■「スズメバチハンター」に密着

この問題を一手に引き受けるのが、巣やハチを駆除する「スズメバチハンター」。

この道13年の池端雅浩さん(51)も、この日だけで3件もの巣の駆除をこなす。

今回、依頼を受けたのは、神社の境内だ。

巣の駆除を依頼した塚本義久さん:草刈っていてそっちに近づいたときに5~6匹一気に飛んできてよく見たら巣があった。刺されましたね。

(Q:いつ頃にできた巣?)
ハチハンター池端雅浩さん:だいたい6月中ごろくらいと思います。

茂みの奥にあったのは、ソフトボールサイズのまだ小さな巣だが、スズメバチの巣は、8月ごろから急激に巨大化するため、見つけたらすぐに対処する必要がある。

さらにこの場所は、小学生が登校する際の集合場所で、放っておくと非常に危険。

巣やハチを駆除する「スズメバチハンター」
巣やハチを駆除する「スズメバチハンター」

■小さい巣であれば、ものの数分で作業は終了

早速、巣を駆除する。まずハチを弱らせるためスプレーを噴射。そして剪定用のハサミを使って切り取り、駆除は完了だ。

(Q.中にハチはいないのか?)
ハチハンター池端雅浩さん:いますよ。この中で死んでいるんで。
(Q.白いのは何?)
ハチハンター池端雅浩さん:幼虫ですね。これがまた成虫になってまた巣を作っていくので、数が増えれば増えるほど(巣が)大きくなる。大きくるなる前に取れてよかったなと思います。

そして二度と巣を作らないよう、巣に戻ってくるハチもあわせて駆除。

小さい巣だったので、ものの数分で作業は終了した。

巣の駆除を依頼した塚本義久さん:よかったです。これでいろいろと安心して(児童に)来てもらえる。

池端さんは息つく間もなく次の現場へ。この日、無事に3件のスズメバチの巣を駆除した。

駆除したハチの巣
駆除したハチの巣

■自宅で巣を見つけた場合の対処法は

もし自宅で巣を見つけた場合、わたしたちにできることはあるのか。アース製薬に聞いた。

アース製薬では、スズメバチを巣ごと駆除できるスプレーの製品があり、直径25センチ以内の巣に対しての駆除が想定されている。(オオスズメバチは除く)

記者リポート:バズーカタイプになっているのでとても的が狙いやすいです。

巣の遠くからでも駆除が可能ですが、防護服などでハチから身を守り、活発な活動が終わる日没後の作業がおすすめだということだ。

アース製薬研究開発本部 浅井一秀係長:スズメバチは大型のハチですし、凶暴性もあるので、すぐに倒す必要がある。大きいサイズで巣を駆除したいのであれば、駆除業者にお願いすることになります。

私たちの身近に生きるスズメバチ。むやみに人を襲うことはないため、“正しく恐れる”ことが求められる。

巣の遠くからでも駆除が可能
巣の遠くからでも駆除が可能

■スズメバチの巣が多い場所

スズメバチの巣が多い場所や注意点をまとめた。

【スズメバチの巣が多い場所】
・生け垣
・軒下
・屋根裏
・エアコンの室外機
・地中
・樹木

スズメバチが多い場所
スズメバチが多い場所

■ハチに襲われないための注意点

【ハチに襲われないための注意点】
・黒など色の濃い服装を避ける
・匂いが強い香水や整髪料などをつけない
・大声を出したり、巣に近づいたり、ハチを刺激しない

スズメバチの巣を駆除する殺虫剤などは販売されているが、大きくなった巣や不安がある場合は専門の駆除業者に依頼するようにしてほしい。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月24日放送)

ハチに襲われないための注意点
ハチに襲われないための注意点
関西テレビ
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