与党過半数割れの結果となった参院選。

“石破おろし”が加速する中、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した政治ジャーナリスト・青山和弘さんが独自取材で解説。

自民党内には「総理大臣を野党に任せて下野したほうがいい」という意見まで出ているそうだ。

“ポスト石破”=次の自民党総裁が誰になるのかで、「次の総理」も変わってきそうだと話す。

ポスト石破 次期自民党総裁は?
ポスト石破 次期自民党総裁は?
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■「政治家になる以上、基本は総理大臣になりたい」

石破総理が辞任した場合、誰が次に自民党総裁を担うのだろうか。

(Q.どんな状況でも政治家は総理になりたい?)
青山和弘さん:基本的に政治家になった以上、自分が言ってることを実現するのは、総理大臣になるのが一番ですから、基本はなりたいんだけど、今回難しいのは、自民党の総裁になったからといって、総理大臣になれるとは限らないんですよ。衆参ともに野党が過半数だから。そこも考えながら、『出るか、出ないか』という話になってくる。

青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■自民党“次期総裁”には誰が? 「候補者は全員やる気」と青山さん

候補者を見て行く。

青山和弘さん:自民党総裁を選ぶ時に、大きくどういう総裁を選ぶべきかという考え方で、候補者の良し悪しが決まってきます。今回、なんで参議院選挙で自民党が負けたのか。大きな理由は、保守層。安倍さんの時には支持してくれていた、若い人も含めた保守層が、参政党とか国民民主党とか逃げてしまった。これは間違いなくある。

この保守層を『取り戻す総裁』にすべきだと考えるのであれば、『前回の自民党総裁選で2位だった高市さんとか、保守層の中から小林鷹之さんがいいじゃないか』(という意見がある)。この人たちであれば、参政党を支持した人が戻って来てくれるかもしれないという考えもある。

一方で、ただ次の総裁は、野党との連携を絶対探らなきゃいけない。連立組み直さないと安定しませんから。そうするとこの人たち(高市氏、小林氏)、やっぱりちょっと野党との親和性は低い。そういう意味だと、今回石破政権で官房長官務めていた、これまでの流れを知る林芳正さんとか、なんといっても安定の”もう1回岸田さん”。そういう可能性もあるんですね。

(Q.岸田氏の再登板ありえますか?)
青山和弘さん:本人はね、やる気なんですよ。ただ、まだ一年しかたってないので、周辺も『ちょっと早すぎるかな』という声もある。

茂木前幹事長や小泉農水相の可能性はあるのだろうか。

青山和弘さん:まず『選挙はやっぱり近いだろう』と(いう声があります)。例えば野党の人が総理になる可能性だってあるわけです、連立交渉の過程で。そうなった時、解散してくるかもしれない。その時、『自民党の総裁は、やっぱり人気者でいっておいた方がいいだろう』となると、『やはりここは小泉さんに一気に行ったほうがいいだろう』という声もある。

あと関税交渉がまだまだ道半ばだということになると、交渉のプロの茂木さんなんて名前も挙がってくるかもしれないし…まあ本人がやる気なんですね。

ポスト石破 次期自民党総裁は?
ポスト石破 次期自民党総裁は?

(Q.今の名前が挙がった人は本人はやる気?)
青山和弘さん:本人は、このみんなは大体やる気です。私が取材しても、『この人は今回出そうもないな』って人はいません。あとは環境が整うか。まだ総裁選がいつあるかも分からないから、全員が出てくると言えませんけど、可能性はある人たちです。

青木源太キャスター:自民党の総裁選に出るとなると、推薦人とか仲間も作らないといけないじゃないですか。仲間もこのメンバーであれば集まりそう?

青山和弘さん:派閥はなくなりましたが、麻生派は残ってる。麻生さんが今回高市さんを支持するのか、それとも小林さんを支持するのか、この辺りでどっちかになる可能性はあります。例えば他のグループが、林さんであれば岸田さんと実は同じ派閥なんですよ、もともと。宏池会。この人たちがどこで一本化するかとか、進次郎さんに本当に若手が集まってくるのかとか、そういったところの座組によって、『出れる、出れない』、そして『勝てるか、勝てないか』が変わってくると思います。

ポスト石破 次期自民党総裁は?
ポスト石破 次期自民党総裁は?

■「石破政権とは組まない」の可能性を探る

青木源太キャスター:野党との連携を探るという点で気になるのは、国民民主の玉木さんは選挙の後に、『石破政権とは組まない』という言い方をしたじゃないですか。

青山和弘さん:いいところに目をつけてますね、青木さん。そうなんですよ。つまり、『石破さんなら組まない』と言ってるけど、『石破さん以外だったら組めるかも』とも聞こえるわけです。実際、私の取材でも、そういった考えは玉木さんある。つまり、『自分を総理にしてくれるんだったら』、新しい総裁で、そうやって組むこともありえる。

例えば小泉さんが総裁になった時に、どうしても連立組まなきゃいけないから、『俺は総裁兼副総理でもいいから、玉木さんを総理に』みたいな交渉ができるのか、どうなのか。

青木源太キャスター:そうなると衆・参で与党で過半数はとれるわけですね。

青山和弘さん:国民民主党と組めばそうだし、例えば野田さんの立憲民主党でもいいわけです。このあたりの交渉がどう進むかも、誰が総裁になるかでやっぱり変わってくるんですね。

例えば高市さんになると、野田さんとの大連立はこれは絶対無いと言っていいですね。考え方が違いすぎるから。そういう意味で高市さんだったら、玉木さんの方が有力かなとか。

自民党総裁が誰になるかによって、政権の枠組み、今後の日本の行方も変わってくるという、非常に複雑な選挙になるんですね。

ポスト石破 次期自民党総裁は?
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■「下野した方がいい」という自民党幹部も

(Q.組み合わせは今すぐ分からない?)
青山和弘さん:分からないです。どういう条件を出してくるか、どういう条件を飲んだらいいかによって変わるし、総裁次第。それと今、自民党の中には、『もうこの際、総理は完全に諦めてしまって、もう野田さんやってくださいよ』と、『自分たちは1回、野党になります』と言った方がいいという、“野に下る”の『下野した方がいいじゃないか』という声も出ているんです。

そうすると自民党は“政治とカネ”問題とかもリセットされて、しかも自民党の中には、『どうせ野田さん大した政権組めないから、すぐ国民が批判して、また次の選挙で(政権が)戻ってくる。逆に近道じゃないか』という声も出てるんですね。

きのう実際、森山幹事長のところにそういう意見具申をしに行った中堅幹部もいるぐらいなんです。ただそうなるかどうかも、新総裁次第でもあるわけです。石破総理に全部背負ってやめてもらって、と。

石破総理は麻生氏、菅氏、岸田氏という3人の総理経験者と面会した際、「出処進退について話は出なかった」と話したものの、苦境に立たされる中、このまま総理の座に留まることはできるのだろうか。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月23日放送)

青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
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関西テレビ
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