近年急増している外国人による日本の不動産購入。
番組ではシリーズ「買われる“すみか”」と題しお伝えしていきます。
22日は、中国人富裕層を取材しました。

優しい木漏れ日が差し込むベッドルームに、東京都心の街並みが一望できる屋上。
ここは東京・渋谷区の人気住宅街にある戸建て住宅。

中古物件として売りに出され、2年前、中国人のAさん夫婦が購入しました。

都内に物件を複数所有・中国籍Aさん:
(ここの土地は)1億いかないくらいでした。そして建物は全部で5000万円いかないくらいです。“とてもお買い得”だと感じました。

Aさんは、この物件を丸ごと民泊用にリフォーム。
旅館業の正規の届け出を終えたのち、1泊3万円で主に中国やヨーロッパからの旅行者に貸し出しているといいます。

都内に物件を複数所有・中国籍Aさん:
全世界の観光客に素晴らしい渋谷の街を体感してほしい。

Aさんによる貸し出しに法律的な問題は全くありません。

一方で2025年、別の中国系業者が都内のマンションで違法状態の闇民泊を行っていたことが発覚。
「イット!」は、住民に対し業者が突如、家賃を2.5倍に引き上げる通告を行うなどのトラブルについて追跡してきました。

そして、今回の参院選では、外国人の不動産取得を巡る政策が争点の1つに浮上しました。

はたして今、外国人はどのような思惑から日本の不動産を手に入れているのでしょうか。

「イット!」が取材したAさんは中国・広州市の出身。
人材コンサルティング会社を営む傍ら、民泊用物件に加え、会社の事務所用、そして自宅用と都内に4物件を所有しているといいます。

さらに22日、Aさんは5軒目となる所有物件を探そうと不動産会社の案内で都内の物件を複数見て回ることにしたのです。

着いた先は、豊島区にある3階建ての物件。
民泊での利用を想定しているといいますが、価格は改修工事費込みで1億9000万円ほどでした。

この物件の印象はどうなのでしょうか。

豊島区の物件を内覧中・中国籍Aさん:
この価格は妥当で割とお得。ただ2年前ほど安くない。

“都内の不動産の値段が上がっている”と話すAさん。
高騰要因の1つとして考えられるのは、Aさんのように不動産を購入する外国人が増えたことです。

国土交通省がまとめた2025年版の「土地白書」によると、海外投資家による2024年1年間の不動産購入額は9397億円。前の年から63%も増加しています。

今回、Aさんに物件を紹介した不動産業者も、2024年から急激に中国人の不動産取得が増えていると話します。

夏野ホームズ・展云龍代表:
(Q.日本の物件は買いやすい?)買いやすい方だと思いますね。カナダも結構、中国圏取引禁止だったり、シンガポールだったり30~60%印紙税払ったりしていないと物件買えないとかある。

円安に加え、取得に制限の少ないことなどから加熱する、外国人同士による日本の不動産取得競争。

その渦中にあるAさんは、さらに2軒目の物件へ。

ここではビル1棟丸ごとの購入を検討。
金額は3億円とのことですが、賃貸とした場合、安定した収入が得られると見込んでいます。

どちらの物件も購入を検討中と語るAさんに、「外国人による不動産取得を制限するべきだ」とする声について聞いてみました。

都内に物件を複数所有・中国籍Aさん:
それについて決めるのは日本の政府なので、今後の状況に注目するしかない。

実際、外国人を念頭に、購入に制限をかける取り組みは一部ですでに始まっています。

千代田区は先週、市街地再開発事業で販売するマンションについて、購入者が原則5年間は転売できない。
同一名義での複数の物件の購入禁止などとする措置を不動産協会に要請したのです。

一方で専門家は、法改正などを通じ外国人の不動産売買に制限をかけるやり方はあまり現実的ではないと指摘します。

不動産ジャーナリスト・榊淳司さん:
実現するのは当面先の話であって、1年や2年は多分変わりませんから、当面外国人に買われまくるということでしょうね。

イット!はシリーズ企画「買われる“すみか”」を立ち上げ、外国人による不動産取得の問題を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。