7月10日に静岡県側で開山を迎えた富士山。
2025年から入山規制が厳格化されるなど、新たな取り組みも始まりましたが、山頂では関係者が「無法地帯」と指摘する状況も起きています。
登山客:
登るのは大変だったが来てよかった
登山客:
達成感が凄い。50代だがこの歳になって初めて登れて良かった
富士山の山頂でカメラを構える女性。
植田めぐみさん(48)です。
植田さんが毎年夏になると住み込みで働くのが“富士山の山頂”。
16年間、夏の富士山で働いてきました。
この日、朝からしていたのは“昼食の準備”。
実は植田さん、山頂にある富士山本宮浅間大社奥宮で3食、神主のために食事を作るのが仕事です。
地上とは違う環境ですが手慣れたものです。
植田めぐみさん:
下だと沸点100℃が頂上だと87℃なんです。普通の炊飯器は使えない。なので圧力鍋で炊くのですけど
神主:
地上と変わらないおいしい料理を毎日食べられるのでありがたい
そんな夏の富士山頂を長年見てきた植田さん。
ここ数年の登山客のマナーには“強い危惧”を抱くようになったといいます。
この日、植田さんは日課となっている富士山頂での見回りをしていましたが…
植田めぐみさん:
この辺の大きな石は上から落ちてきている。当たったら一撃。こうやってロープ張っていてもどうしても外に出る人とか、ここならまだ安全だから休憩していると思うのですが、本当に危ないところもいっぱいあるので
ロープを超えて休憩しようとする外国人登山客。
その先は崖になっているため非常に危険。
山頂付近は浅間大社が所有する神聖なエリア。
立ち入り禁止エリアが広がっています。
しかし、外国人の登山客を中心にお構いなしだといいます。
さらに、植田さんと歩いていると登山客の驚くような行動を教えてくれました。
植田めぐみさん:
木道が外れていると、これを燃やして暖を取る人も出て来る。朝ご来光の時に通るとここで火をくべていた
なんと…道として使われている木材を燃やしてしまうといいます。
さらに、ご来光みたさに立ち入り禁止エリアに人が殺到し道ができてしまったというケースも…
植田めぐみさん:
本当に多くの登山者に知ってほしいことがなかなか伝わらなかったときは結構悩みました
植田めぐみさん:
お疲れ様です。山梨混んでます?ツアー結構入っています?
山梨側スタッフ:
そんなに混んでない。まあまあ入っているけど、小さい
植田めぐみさん:
人数が少ない?
山梨県側スタッフ:
うん、少ない
植田めぐみさん:
向こう(静岡側)もそんな感じ
いま、植田さんは山頂を少しでも安心な環境にしようと取り組んでいます。
山梨県側のスタッフと連携して、ルール違反をやめるよう登山客に呼びかけているほか負傷者の救助に当たるため、2024年は「野外災害救急法」の資格も取得しました。
植田めぐみさん:
富士山って素晴らしいところだった。行ってよかったと思ってもらえる山になるように自分が少しでも力になれればと思いまだまだ活動を続けていきたい
関係者からは“無法地帯”との指摘も上がるここ最近の富士山の山頂。
マナーを守って安全・快適に登山するための取り組みが求められています。